ボカシ肥料とは即効性があって作物の成長にすぐ効く化学肥料に対して畑の土の微生物そのものを活性化させてバランス良い生育を促す有機肥料、見えない土の中から作物の健康と成長をたすけます。
その代表的な有機肥料ボカシ肥料の作り方をこの道の達人といわれる方々から伝授してもらったことをまとめてみます。
かんたんに作れる有機肥料、ボカシ肥料の作り方動画
ボカシ肥料とは、油かすや米ぬかなど有機肥料に、土やモミガラなどを混ぜて発酵させて作る肥料のことです。土に肥料分を混ぜてぼかす(薄める)ことからその名前がついたということです。
有機肥料は、微生物に分解されることで効果を発揮することから、効き目が現れるまでに時間がかかるとされています。
しかしボカシ肥料なら、すでに発酵しているので土の中の微生物が多く、すぐに植物に効きます。また、有機質を原料にしているので、肥料効果が持続することも特徴的なポイントです。そしてまた、ボカシ肥料とは、複数の有機質資材を発酵させることで、窒素・リン酸・カリの三要素をバランス良く含ませつつ、土中の微生物や根に影響を与えるガスが出なくなるまで分解させたものです。
生の有機肥料よりボカシ肥料は即効性があるから使いやすい
生の有機質肥料であれば土に施してから微生物による分解が始まるため、種まきや植付けの2週間〜1ヶ月半ほどおかなくてはいけません。
しかし、発酵済みであるボカシ肥であれば、施用してからすぐに種まきや植付けが可能です。堆肥に比べて即効性があり、液肥よりも持続性があります。
元肥にも追肥にも使えるので、化学肥料を使わない有機農業に欠かせない万能肥料です。作物の生育がバランス良くなりますから病気も出にくくなるのが一般的です。
ボカシ肥料には嫌気性発酵と好気性発酵がありますが、今回は何度も空気を入れる切り返しが不要(密閉)で取り扱いが比較意的カンタンな嫌気性発酵の方を説明します。
どちらも得られる肥効はほぼ同じですが、作業の手間や掛かる時間に違いがあります。ここで紹介するのは、切り返しが必要なく(袋に密閉して放置して1カ月-2カ月)で手間の掛からない方の作り方を紹介します。
また、身近に手に入る材料を使って簡単に作ることができるのも特徴。作ったボカシ肥は半年ほど利用することができます。
■材料配合割合
上記の配合割合で、例えば、米ぬか(1袋) 14kg:油かす 5kg:貝化石(牡蠣殻石灰)など 4kg:水 7.0ℓとなります。
発酵促進剤0.3㎏
▼発酵促進剤:米ぬかと水だけでも発酵するはずなのですが、発酵促進剤を入れることで、発酵分解作用を早めることができます。
そうすることで失敗の可能性がかなり軽減できます。
■ボカシ肥料の作り方 まとめ
①材料を計量してしっかり混ぜる。まず、材料を必要分量だけ投入し、ジョウロで水を掛けながら、手でしっかりと混ぜます。
②重要なのは水分量です。注意して下さい!気をつけないといけないのは水の量。
水が多すぎると腐ってしまいます。目安としては、手で握って固まっても指で押すとパラパラと砕ける程度にします。
当初の水は7.0ℓでしたが、材料の乾き具合でかなり違ってきますので、手の感触で調整して下さい。ここは大事です。
③次に重要。丈夫なナイロン袋に入れる!ゴミ出し用の袋が良いかな
④重要なのは袋に入れてナイロン袋などでしっかり密閉する!
発酵の過程で酸素が入ると水と二酸化炭素に分解されてしまい肥料にならないそうなので、できるだけ空気を抜いて、
しっかりと密封しておくのがコツ。今回はこちらのゴミ袋を丈夫で使い勝手がいいので利用します。
⑤常温で日陰に保管します。密封した袋は、途中一度も開けずに保管しておきます。途中で切り返す必要もありません。
しばらくすると発酵が始まります。好気性発酵と違って酸素がなくても発酵が進み、発酵熱は出ません
(ずっと常温のまま)。このまま雨と直射日光の当たらない場所に保管しておきます。
⑥完成したら熟成を待つだけ
仕込んでから、暖かい時期なら1ヶ月、冬季なら2〜3ヶ月ほどで発酵し終わり、肥料として使えるようになります。
⑦まず1カ月後に、うまく行ったかを確認します
暖かい時期なら1ヶ月、冬季なら2〜3ヶ月を目安に、袋を開けてみて、ヨーグルトのような乳酸発酵の甘酸っぱい匂いがすればうまく発酵が終了したという証拠です。
発酵完了後は、空気に触れても大丈夫です。乾燥させて使いやすくして保管もできます。