芋煮会 のどかな秋のお花見のような風情
山形の秋の風物詩といえば間違いなく「芋煮会」です。 今年も9月の「日本一の芋煮会フェスティバル」がお天気に恵まれ3万食の芋煮が完売となったようです。
ひと言でいうと「秋のお花見」といった方がわかりやすいかもしれません。そんなイメージで職場の芋煮会、町内、自治会の芋煮会、プライベートの仲間たちと盛上げる芋煮会などです。シーズンになると頻繁ありますから芋煮疲れの方も多いのではというくらいに、それほど山形県民は芋煮会が大好きです。
自分たちの好きな河川敷の場所取りをして芋煮に使う食材やお酒を買い出しして段取りをします。実行委員を決めて、集合時間、集合場所、予算や内容を事前に検討をしてすすめていく流れはお花見と一緒、お天気を気にしながら進めて行くやり方はまさにお花見と一緒です。
そんなに頻繁にと芋煮疲れの方も多いのではいうくらいで、それほど山形県民は芋煮会が大好きで大盛り上がりするのです。
吹雪のなかのアツアツ「寒だら鍋」に大盛上がり
今年も吹雪の厳冬が続く1月中下旬に唯一の楽しみは美味しいものを食べること。あまりの寒さに外出もできるだけひかえる中、少々吹雪いても雪が降っても楽しみに外出できるのは寒ダラ祭りの日だけです。
そして、寒だら汁ばかりでもなく、いろんなお店を覗いて楽しみながら食べ歩きします。そして、もうこれ以上食べられないほど食べ歩くのです。中には寒鱈を使った色んな料理のブースも、フレンチ、イタリアン、寿司など庄内地方の有名店のシェフや店長が腕を競って作る創作料理です。
鶴岡市のアルケッチャーノの奥田シェフも自ら先頭になって動き回っています。今回の品名は「寒ダラのクラムチャウダー風」でした。寒い中で行列がすごかった。搾りたての日本酒の試飲会もあるから元気も出ますね。それであったまることも寒鱈まつりの楽しみ方のひとつです。美味しいお酒の季節が寒ダラと一緒にやってきました。
脂ののったアブラワタ(肝臓)を一緒に煮込むことで何とも言えない美味しさになる。鱈は水分の多い魚で鮮度が落ちやすいため庄内ではあたりまえに使われているアブラワタ「肝臓」も他の地域では捨てられてしまうと聞き何だか「もったいない!」気持ちにさえなってしまいます。頭から内臓まで捨てるところはないと言われる「たら」。寒だら鍋の味の決め手は、「アブラワタ(肝臓)」と「どんがら(アラ)」を丸ごと味噌で煮込むことで出る深みとコクです。
旬の寒だらの肝臓は、他とは比べ物にならないくらい濃厚な味わい深さ!他の調味料やダシは使いません。また、プリッとしたダダミ(白子)は寒だら鍋の醍醐味。豪快な鍋ながら繊細かつ上品なクリーミーな味わい。とろけるような口あたり、ふくよかな旨みに圧倒されます。
庄内特有の地吹雪が現れるころは、寒ダラのおいしい季節。海も大荒れ厳寒期の漁は困難を極めます。漁師さんたちも命がけの漁になります。そもそも、この寒ダラとは、一般的に大寒の時期に獲れるマダラのことをさし、この厳冬の海の幸を満遍なくいただく冬の楽しみなのです。
山形蕎麦といえば 板そば
また、山形といえば蕎麦です。木の長四角の器に太目の黒っぽい挽ぐるみの蕎麦が盛り付けられた「板そば」。山形の蕎麦屋さんではどこにでもある品書きです。通常は2-3人前が盛り付けられる器なのですが、一人で平らげるつわものの蕎麦好きも珍しくはありません。
昔大きな長い板や木箱にそばを盛り付け、農作等の共同作業や集会後に振舞ったのが由来とされている。本来は大きな木箱に盛られた山形風田舎そばを、複数の同席者で分け合って食べられていたということからついた名前のようです。
また、一緒に食べた人との仕事や人間関係のご縁が、水(縁)がこぼれ落ちる「ざる」ではなく、早く「板」に付きますよう(順調になりますように)との願かけと、細く長くそばに居られますようにとの縁起を担いで、「板そば」が振舞われ、仲間が揃った時に食べる縁起のいい〆の食べ物とされています。
山形のそば屋では現在も2 – 3人前の板そばは、そば好きは1人で食べるのも普通にみかける風景。