◆◆ ばっちゃん物語 第2話◆◆
■ズキ芋は子供をそだてる種イモか?
山形でいう「ズキ芋」ってご存知ですか。各地で「芋茎(ズイキ)」芋ガラなどと呼ぶのようですが
山形では芋の部分を含めた全体をいいます。
ばっちゃん、今日は久々の上天気で、ひ孫とズキ芋の収穫をします。
午前中からせっせと準備をして小学校が終わるのを待っていました。
ズキ芋とは、里いもの種類で田んぼに植えた芋のことをいいます。畑に植えたものより
大きく育ちます。子供の背丈くらいにはなります。
ランドセルを家にほうり投げるように置いたハルトくん、まっすぐばっちゃんのところへ急ぎます。
ズキ芋があるのはドロドロの田んぼ、それも苗代(ナワシロ)といって稲の苗を育てるために
特に丁寧にドロドロに練り上げられた田んぼです。
自家用に作ってあるので、そんなに広くはありませんが、小学2年生のハルト君にとって
大きな芋の収穫はとても楽しみにしていたことです。
ふだん、できないことをやらせてくれるばっちゃんとの時間はいつも楽しいからなおさら
ところが、田んぼのぬかるみは本人が思っているほど生易しいものではありません。
歩けないのです。ぬかるみに足を取られて、思うようにうごけません。
春の水の入った田んぼは経験がありますが、秋の半乾きの田んぼの泥は重くて足が抜けないのです。
ばっちゃんはそんな子を笑顔で見守ります。子供が弱音を出しても決して手を貸したりはしません。
自分でできるまで見守る姿勢をとります。
今日、ハルト君が収穫したズキ芋は深い泥から彼の力でも抜けるようにあらかじめ仕組んででありました。
何本かズキ芋を収穫したハルト君は得意げに、夕飯のとき家族に今日の収穫の顛末を得意に話すのでした。
寝静まったその夜空には、スーパームーンのような大きなお月さんが輝いていました。
(続く・・・)