◆◆ ばっちゃん物語 第34話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■大好きな源吾兄ちゃんが戦争に行く・・・ その年の春は冬から想像もできないほどの 暖かい陽気が続きました。 雪も順調に融けて登校のときも吹雪のとき のような緊張感はまったくなく 下校時などはトコちゃんは仲良し3人組の 同級生女の子たちと目いっぱい道草を 食いながら帰るようになりました。 何より楽しい道草を楽しんでいると3月は あ...... 続きを読む
ばっちゃん物語
◆◆ ばっちゃん物語 第33話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■お雛様、早く仕舞わないとお嫁入りが・・・ ひとつ一つの人形の顔をだいじに見つめながら 木の箱から出して、新聞紙の包みから慎重に 出しては、お母ちゃんに手渡し、お母ちゃんが 丁寧に雛段にひとつずつ飾っていきます。 ひな壇の空いている所が無くなっていくのを 何度も確かめながらトコちゃんは嬉しさが こみあげてくるのです。 そして、ぼんぼりをともして、赤い毛氈...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第32話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■土人形のお雛様、キズだらけの顔に歴史が・・・ トコちゃんの家、佐藤家の雛人形は ほとんどが土人形。 お祝い事があるときや子供が生まれるたびに 買い足して今に至ったものです。 お雛さま、お内裏さまの顔は土人形だけに 傷だらけですが、3組もあるのです。 三人官女1組、五人ばやしは何故か居ないのです 赤鬼の背にまたがった桃太郎、クマと金太郎 鉄砲かつい...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第31話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■桃の節句は秘密基地からお宝いっぱい 雛人形は先週の日曜日にお母ちゃんと土蔵から 出して並べました。 木の雛段を組んでもうせんを敷きました。 人形は木の箱に3つ、ぼんぼりや器が 入った箱2つです。 普通は暗くて怖いと思われている土蔵から出すの ですが、土蔵には独特の香りがあって その香りが何故かトコちゃんは好きでした。 きっと一年分貯蔵しているお米...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第30話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■こんもり盛りあがった土の中に顔を出す。 雪が薄くなっている土手の上の方を下から 覗き込むように見ると、こんもり盛り あがっている所が見えました。 トコちゃんは「ばんけ、あったー!」 思わず声を出してしまいました。 上から見ても全く探せなかったのが雪と土の境目 を土手を下から見上げると、残雪の下に土の 中からようやく出たばかりの ばんけが見つかるの...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第29話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■桃の節句には「ばんけ」が欠かせない さすがに3月の桃の節句のころになると積雪は まだあるものの陽射しの強さが違ってきます。 川の土手の南側は雪も解けて地面が 出てきている場所もあります。 今日は桃の節句、学校から走って 帰ってきました。 お母ちゃんにに昨日から頼まれていたことがあったのです。 トコちゃんは村はずれの川の土手に お母ちゃんに言われた...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第28話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■節分から雪の質が変わって馬そりが活躍 いくらか日が長くなったか思うことが感じ られる2月になってもまだ雪は 降り続きます。 お正月が終わって、雪降りの単調な日々が 続いて2月は節分の豆まきがあります。 この頃から降る雪の質は変わってきます。 積った雪が徐々に締まってきます。 雲間から時々覗く太陽の光の強さも違 ってきています。 雪が締まって...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第27話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■節分の朝に猫の足が埋まるほど雪が降ると大雪 明日は節分2月3日です。トコちゃん、今夜は いつもより早く寝ました。 何故かといえばさっきまでいろり端で おばあちゃんがこんな話をしていたのです。 「節分の朝、猫の足が埋まるほどの雪だった らその年は大雪になる」というのです。 そのことにお父ちゃん、おじいちゃんまでが 「んだ、んだ」と昔からの言い伝えにあると...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第26話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■寒い日は学校でおしくらまんじゅうで暖まる残念ながらというか、長いお正月休みも終わり子供たちは深い雪の中を隊列を組んで学校へ行く日々が始まりました。特に吹雪の日は隊列の隙間を出来るだけ少なくして上級生の体格のいい子を先頭に吹雪に向かっていくのです。学校までは子供の足で約40分かかります。この辺はお米の一大産地だけに農家の耕作面積も大きいので集落と集落の間合いが広く離れて、遠くなります。それにしても庄内平...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第25話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■溺れても網を放さない権太のど根性トコちゃんの大きいお兄ちゃん源吾が権太を助け上げたとき驚かされたことがあります。権太は船戸の渕で溺れて流されても魚の入った網をしっかり握って離さなかったため源吾が助けたとき網には大きなナマズが2匹入ったままでした。これを見て源吾はこの子にある意味の親しみを感じたのです。助け上げたときすぐに水を吐き出させようとしましたがそれでもザッコ網を手から離さないのには呆れました。源...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第24話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■明日の穏やかさをやくそくする夕焼けに包まれる 権太は思い出していました。 自分が船戸の渕でおぼれた時のことを。 源吾に助けだされて川の土手に寝かされて息を吹き返したとき 源吾はただ黙って震えている自分を抱きかかえて 家まで連れて行き介抱してくれこと。 けっして近くない家まで、源吾に抱えられた権太は 今まで感じたことのない安心感に包まれていました。 囲炉裏に火を焚いて側に寝かせて布団をかけてくれたこと。 「...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第23話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■泣かされたのは権太、あの滑り台が壊される!「おめえ、まさかオラのあんちゃんのごどば、忘れたんじゃねえのがー」「おめえ、オラのあんちゃんから命ば、助けらたんでねえのがー」黙ったままの大きな権太をトコちゃんが下からのぞき込んで語ります。権太は、こぶしを固く握ったまま、しばらく押し黙って動きません。しばらくして、その拳がふるえています。そして今度は権太の肩が震えています。そして沈黙を切り裂く大きな声が・・・...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第22話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■恥ずかしがり屋の赤面症トコちゃん変身!いつになく、次の朝は青空が広がり晴れ上がっていました。いつもより少し遅く起きたトコちゃん。だって昨夜はおしゃべり好きな信子ちゃんと遅くまで、語り合ってたから遅くなってしまいお母ちゃんから2人とも起こされました。納豆ごはんで朝ごはんを済ましたころ、すぐ上の兄ちゃんが来て「佐助が来て神社で待ってるがらすぐに来いどおー」そして「お前が作ったヌガリズボに権太が落じだらしぞ...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第21話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■トコちゃん、ついに権太に殴られるのか!「たしか、トコがつぐってたぜー!」誰かが言いだした。「あの源助のトコがーっ!」権太は顔を真っ赤にしていいきった。みんなは「んだ!」「んだ!」と佐助を気遣ったようすでうなずいた。「きっとトコは、あの権太からめちゃめちゃ殴られる!」「こりゃ、大変なことが起きる!」という噂が持ち上がり、村の子供たちはトコちゃんのこと案じたのです。 権太は現場を佐助に言いつけて頭から湯気...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第20話 ≪ばっちゃん子供頃のお話し≫ ◆◆ ■雪山に掘った落とし穴に落ちたのは誰?ところでトコちゃんが信子ちゃんと掘った雪のヌガリツボ(落とし穴)はその後どうなったのでしょうか。ヌガリツボ(雪の落とし穴)の顛末です。「権太、落じねがなあー」「金作落じねがなあー」出来れば自分が見ている前で意地悪なとなりの健造が落ちてくれたら何より最高に嬉しいのにと思っていました。トコちゃんはお昼過ぎて誰かが雪の山でヌガリツボに落ちてくれることを心待ちに昼ごはんに家...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第19話 ≪ばっちゃん子供頃のお話≫ ◆◆ ■(続)せんべい釣りというお正月のゲーム外が吹雪で遊べない日がおおくなるとお正月や冬の遊びには「せんべい釣り」という遊びをしていました。あ母ちゃんが大みそかに街で買ってきた薄焼きせんべいを糸の付いた縫い針で思いっきり投げて針を刺してせんべいを釣り上げるゲーム。釣り上げたせんべいは自分が貰えます。モノの無い時代にお煎餅が貰えるのは大きな魅力です。それも2枚、3枚,時には5枚釣れることもあって力が入ります。ル...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第18話 ≪ばっちゃん子供頃のお話≫ ◆◆ ■せんべい釣りというお正月のゲーム外が吹雪で遊べない日がおおくなるとお正月や冬の遊びには「せんべい釣り」という遊びをしていました。あ母ちゃんが大みそかに街で買ってきた薄焼きせんべいを糸の付いた縫い針で思いっきり投げて針を刺してせんべいを釣り上げるゲーム。釣り上げたせんべいは自分が貰えます。モノの無い時代にお煎餅が貰えるのは大きな魅力です。それも2枚、3枚,時には5枚釣れることもあって力が入ります。ルールとし...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第17話 ≪ばっちゃん子供頃のお話≫ ◆◆ ■吹雪がつくる雪の山は子供たちの遊園地この地域には何故かお正月の遊びに羽子板はありませんでした。それはする場所がないから当然といえば当然。外は雪が積もっているし吹雪の日もあるので羽子板ができる環境ではないというのが答えになります。ただ、トコちゃんは当時貴重な雑誌などを見せてもらって「楽しそう、一度やってみたいなあ」と思っても外の現実を見ると急に想像が萎むのを感じました。しかし、お正月休みの遊びといえば、どう...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第16話 ≪ばっちゃん子供頃のお話≫ ◆◆ ■正月礼の宴会で歌う。おひねり貰う正月礼(お正月の宴会)大人たち(男たち)の宴会の準備はできました。朱塗りのお膳にニの膳も並んでいます。上座には親戚の決められた席順があって、どうするのかお父ちゃんとお母ちゃんは朝から順序を確認していました。しばらくして宴会が始まったようです。勝手はますますす忙しくなって白い割烹着を着たお母ちゃんおばちゃんたちが早足で応接しています。1時間もすると、自分たちの出番も始まること...... 続きを読む
◆◆ ばっちゃん物語 第15話 ≪ばっちゃん子供頃のお話≫ ◆◆ ■大きな雪の滑り台でソリ遊びトコちゃんにとっての楽しいお正月は続きます。昨日は正月礼で大人たちのお正月の宴会がお昼の時間帯から始まり家中がうかれています。従兄弟たちも5人来て賑やか、特に大好きな信子ちゃんも来て一緒に遊び始めています。一番賑やかなのは、勝手の方でお母ちゃんやおばちゃんたちが賑やかになにやら話しながら宴会の料理を盛りつけしたりお盆に載せて運んだりお酒を燗をつけたり、それはそれはいそがしいのです...... 続きを読む