桃の花はいちばん艶やか
春の大地の力の力が漲っている山形らしい景色がこの果物の花の季節ではないでしょうか。山形の冬は長いだけに山形県民はエネルギーに満ちた開放感のある春が特に大好きです。山形の果樹園では4月下旬から桃、ラフランス、サクランボ、ラ・フランス、洋梨、リンゴの花が連休前半から後半にかけて次々に咲きだします。
その中でもいちばん早く咲きだすのは桃の花、しかもいちばん艶やかなショッキングなピンク色の桃の花はひときわ目を引きます。桃の花に比べると果樹園地帯の中でもいちばん多いさくらんぼの花は真っ白。ラフランスの花も白、リンゴはちょっとだけのピンクがありますが全体は白になって見えます。
春のくだものの里は、百花繚乱の景色に変貌して人々に魅せてくれますが、そこに少数派の桃源郷ははっきりと他にはない桃の花だけの個性を主張しています。春の果物の花の共演この幻想的な景色を決して見逃したくはありません。
桃源郷 桃の花は濃いピンク
果樹栽培のさかんな寒河江(さがえ)、天童、東根、上山あたりでは、桜が終わる頃から桃の花が次々と開花し、5月中旬まで一帯が桃源郷と化します。しかし、果樹園全体の開花の中ではやや少数派、サクランボの果樹園面積からするとやはり面積は小さい畑が点在する形にすぎませんが、色が鮮やかなだけに存在価値はしっかりしています。
そして、そこは思いのほか、いなかの人間臭さがつくりだすほっこりとした暖かさのあるくだもの桃源郷なのです。そして、桃の花はさくらんぼより少し早く咲き出します。甘い香りの果樹園ではミツバチなどが忙しく働いている
くだもの地帯の桃の花の回廊
くだもの地帯の回廊は天童の国道48号周辺から東根の県道296号「フルーツライン」、山形空港の周辺の果樹園地帯を中心に続きます。そして、広く探せば果樹王国ヤマガタの村山盆地の果樹園地帯のいたる所に見つけることができます。
この周辺あたりをドライブすると、そこここで可憐な花を咲かせた素敵な果樹園の桃の風景に出会うことができます。この時期、果物の花の満開はサクランボ、ラフランス、りんごの花、すももの花、いろんな果物の花にめぐり合うことになります。
雪の山々とピンクの桃花
また果樹園の桃の花は生け花用や園芸用の見せるための観賞用ハナモモではなく、くだものの桃の花は少し違います。季節風をさえぎるための暴風ネットに覆われている畑も多いので、華やかさという面では花木の桃の花とは違います。
そして、突然視野に現れる桃のピンクの花。春の霞の中から浮かび上がるようなピンク色の桃の花、この桃の花の集団は沢山の果物の花が咲きだすこの季節にひときわ派手に咲く桃の花はその周りの景色から浮いてしまっています。
短い期間に一気に咲きだす果樹園地帯の壮大な満開のエネルギー。桃の花はいちばん先に咲き出し、色の濃さもいちばん、他の果物の開花をリードしているように見えるのです。
桃の満開は一瞬しか見れない
実は、残念なことに桃の花が満開の期間はごく短い期間にしか楽しむことはできません。それは、桃の花の満開時には早くも実の数を制限する「花摘み」する宿命がまっています。桃の花は満開になる頃には、美味しい実を収穫するために実の数を制限するための花を摘む作業がすぐにはじまるからです。
冬を越していちばんに咲く桃の花は一気に咲いて満開を迎え、あっという間にその命を散らせてしまう運命にあります。こうなると尚更に、一瞬の満開の桃の花が咲き乱れるひと時をいとおしく感じてしまうのです。
▼桃の畑をドローンで撮影した 奥の山は月山