りんごの花は品種ごと咲く
山形では大型連休の5月上旬平年並みでりんごの花が開花を始めました。咲き始めから満開が終わるまで各品種10日間ほど咲いて授粉をして交配を済ませます。
やはり開花の早いのは早生品種の「つがる」そして「昂林」などの早生ふじの各種、そして「ふじ」、黄色いりんごのシナノゴールドと続き、「こうとく」は2-3日遅れて咲いてきます。
花の大きさや形、咲き方は微妙に違いが観られますが、満開のりんごの花は甘い香りを漂わせ、みごとな白い可愛い花を見せてくれます。この時期咲くのはりんごの花ばかりではありません。洋なしのラフランス、さくらんぼ、桃、スモモ、プルーン。果樹園は様々な色、さまざまな香りに包まれます。
山形の春の風景は、農作業の慌ただしさと共に、春を待ちかねた果物たちの春ともいえます。
リンゴの花はピンクの蕾が満開と共に白い花になっていく
蕾がピンクで純白の花に変わる
りんごの花の不思議なところは、りんごの花はピンクから白へと色が変化ししていくというところ。蕾のときはピンク色で満開、満開まで薄いピンク色、満開を過ぎてくるほどに純白になります。
一般的にこのことを知らないものだから、花の色がピンクの品種と白い品種があるのかと思ってしまいます。品種によって花の形、花びらの大きさ、ピンクの濃淡には違いがありますがどの花も満開を過ぎると真っ白い花に変色するのです。
変色というよりは後半になるとピンク色が抜けてしまうという表現があっています。
また、咲き始めのピンク色の濃さにも品種で違いがあって、「つがる」「シナノゴールド」「こうとく」などは濃いピンク。「サンふじ」「早生ふじ」などの花はピンク色は薄い感じを受けます。
りんごの花と蜂の微妙
もちろん、りんごの花の色がはじめピンクで白に変わることにはただの偶然とか、たまたまというのではなく、ちゃんとした理由があるといいます。
りんごの花はさくらんぼなどと同様に受粉して実を着けるのですが、ミツバチ、マメコバチなどの昆虫が花粉を運び授粉をおこないます。
ピンク色の花はミツバチをはじめとする昆虫を誘うための色といわれています。この色によってミツバチやマメコバチが誘われて花に集まるようにピンク色の花があって、授粉が終わる頃、満開が終わるころには白い花びらになって開花を終了するということなのです。
ピンクになった花を中心に蜂たちが集まることで、授粉の終わった花には蜂が行かなくて済みますから、満開時の昆虫たちが超忙しい時期に、無駄な動きを回避できるというわけです。
またピンクの花には香りで虫たちを集める甘い香りもあり、周囲から蜂たちを集める効果があるようなのです。
だからりんごの花が咲くと甘い香りが園地では、してきます。この香りで蜂たちを誘って授粉効率を高めることに一役担っていることになります。
満開から始まる花摘み
りんごの花を間引くことを花摘み、摘花(てきか)といいます。専門的には中心花と側花の中で一番大きなものを選び2花を残し、その他はハサミで切り取ります。細やかな作業で根気がいります。
この作業が必要な理由というのは、数多くの花は樹体に多くの負担をかけるので、摘花作業をすることにより負担の軽減につながるのと果実の実を大きくするためにする重要な作業です。
この時期になるとたくさんの人たちが一斉にりんご畑に出て花摘みをしている様子がうかがえます。のどかな春の風景の中にこれから始まる果物生産を行う生産者の春の力が果樹園のあちらこちらに点在して見えてきます。
りんごの開花と山形の春 まとめ
山形では、4月下旬から、桃、ラフランス、サクランボの順に開花が始まりりんごの開花は5月5日頃から始まります。
山形県でいちばんのりんごの有名な産地は何といっても朝日町です。国道287号沿いに2015年にオープンした道の駅「りんごの森」が出来て人気の産直施設でもあります。
この地域の山々の南向き傾斜地や小高い丘に満開のリンゴの花は見事です。同じ時期にみられるのは、洋ナシ、ラフランス。サクランボ、桃の花もタイミングが合うと見られます。
「サンふじ」りんごの発祥の地として知られている朝日町。5月のりんごの花の満開になる大型連休には行ってみたいところです。
もちろん、果物の主産地、東根市、天童市、上山市、寒河江市もいろんな果物が一斉に開花をしてきれいな果物のお花見が出来るでしょう。