野菜と腸活 腸内フローラとは
野菜の分類 現在、わが国で栽培されている野菜には150~200種ほどがあります。野菜には食物繊維が豊富に含まれており、腸活に役立ちます。野菜の食物繊維は、腸内で水分を吸収して便のかさを増やし、腸の動きを促進します。また、善玉菌のエネルギー源となるため、腸内環境の改善に寄与します。
野菜には、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質などの栄養素も含まれています。腸内には約1000種類もの腸内細菌が生息しており、それぞれ餌にする食物繊維が異なります。そのため、さまざまな種類の野菜を摂ることが大切です。
野菜は「かさが大きいほどよい」とされており、「加熱によりかさが減っていない生野菜が一番」といわれています。食物繊維の豊富な野菜は、生でたくさん食べると消化管の汚れを落とす「煙突掃除人」の働きをしてくれると考えられているのです。
食物繊維には不溶性と水溶性があり、どちらもバランスよくとることが大切です。腸内環境が悪い場合に現れる症状には、便秘や下痢などのお腹の不調、にきびや肌荒れなどがあります。
腸活におすすめの野菜なに
もちろん、野菜であれば果菜類、葉菜類、根菜類を問わず、バランスよく、好き嫌いせずに食べていただくことです。野菜には食物繊維が豊富に含まれています。
おすすめはレタス・キャベツなどの葉物野菜より、にんじん・ごぼう・れんこんなどの根菜類ですが、大切なのはいろいろな種類の野菜をとることです。 腸内には約1000種類もの腸内細菌が生息していて、それぞれ餌にする食物繊維も違います。
そこで、腸内細菌を整えるカギは食事の内容になります。食事を工夫すれば、2週間程度で腸内環境は改善されといいます。一方で腸内環境が悪くなるのはあっという間です。よい腸内環境を維持するには、持続的に食事をコントロールしていくことが重要です。食事のポイントは腸内環境をよくするために食べたい食材の量と種類ということになります。
野菜を食べないとどうなるかというと、野菜不足で善玉菌が減り、腸内環境が乱れて便の排泄が困難になりやすくなります。 悪玉菌の増殖を抑えるのは、腸に有益な作用をもたらす「善玉菌」です。
善玉菌のエサになるのは、野菜などに多く含まれる「水溶性食物繊維」です。 そのため、野菜が不足すると、エサが足りなくなって善玉菌が減少し、相対的に悪玉菌が増えてしまいます。
これによって、腸内細菌のバランスが崩れて、身体にとって大事な腸内フローラが減少、免疫力も下がるかもしれません。
食事ポイント「まごわやさしいよ」
「まごわやさしい」は、バランスの良い食事をするために摂取したい7つの食材の頭文字をつなげた言葉です。出典の「まごわやさしい」は医学博士の吉村裕之氏が提唱している、バランスの良い食事の覚え方です。
「ま=まめ」「ご=ごま」「わ=わかめ」「や=やさい」「さ=さかな」「し=しいたけ」「い=いも」。 1日1回は摂取したい7つの食材の頭文字をつなげたものです。そこに、ヨーグルト類の「よ」を加えて、8つの食材「マゴハヤサシイヨ」になりました。
1回の食事で「まごわやさしい」すべての食材が摂取できることが理想的ですが、
あれも これも食べなくてはいけないと思うとストレスになってしまうので、あくまでもこれらを参考にして、1日のうちにこれらの食材がまんべんなく摂れるように心がけてみましょう。
また、「まごわやさしい」の食材にプラスして「軽い運動」も毎日の生活の中に取り入れてみましょう。
「まごはやさしいよ」の食材とは
「ま」は豆。大豆・納豆・豆腐など。大豆や大豆製品には良質なたんぱく質のほかに食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は腸内細菌の餌になります。納豆やみそなどの発酵食品は腸内細菌の餌になるだけではなく、悪い働きをする菌の増殖を抑える作用もあります。
「ご」はごま。ごまにはオレイン酸やリノール酸などの良質な油が含まれています。オレイン酸やリノール酸は血液中のLDLコレストロールを減少させる作用があり、動脈硬化予防が期待できます。また腸内細菌がオレイン酸・リノール酸を使って、肥満解消など体によい働きをするものを作っているという報告もあります。
「わ」はわかめ・もずく・ひじきなどの海藻類です。わかめなどの海藻類には水溶性食物繊維が含まれています。水溶性食物繊維は腸内細菌の餌となり、腸内細菌を育て活性化させる働きがあります。
「や」は野菜です。野菜には食物繊維が豊富に含まれています。おすすめはレタス・キャベツなどの葉物野菜より、にんじん・ごぼう・れんこんなどの根菜類ですが、大切なのはいろいろな種類の野菜をとることです。
腸内には約1000種類もの腸内細菌が生息していて、それぞれ餌にする食物繊維も違います。そのため、摂取する食物繊維の種類が多いと、より多くの腸内細菌を活性化することにつながると考えられています。
「さ」は魚です。魚には良質なたんぱく質が多く含まれています。いわし・さばなどの青魚には良質な油であるDHAやEPAが豊富です。これらは腸内細菌の多様性を高めるという報告もあります。
「し」はしいたけなどのきのこ類。きのこ類には食物繊維が豊富で、免疫細胞にも作用すると言われています。
「い」はさつまいも・じゃがいも・里芋などのいも類。長寿の地域の京丹後市で調べたところ、毎日食べる高齢者は5%、週5〜6日食べる人も33%いることがわかっています。保存がきく食材なので常備しておくとよいでしょう。
「よ」はヨーグルト。ヨーグルトに含まれる乳酸菌はよい働きをする腸内細菌を増やす作用があり、腸内環境を整えます。1日1カップ(200g)を目安にとるとよいでしょう。
ただし、ヨーグルトの種類は多くあり、自分に合わないものを食べると下痢などが起きる場合もあります。いろいろ試して自分のおなかと味覚に合ったヨーグルトを見つけましょう。
全粒穀物の食で食物繊維が増える
「まごわやさしいよ」以外ですすめられるのは、全粒穀物です。白米や白いパンではなく、より食物繊維が豊富な玄米や麦をとり入れると、食物繊維の摂取量が増えます。
すべてを変えるのではなく、パンを食べるなら全粒粉を使ったものにしたり、3食に1食は白米に玄米や雑穀を混ぜるだけでも、食物繊維を増やすことができます。
結論を言うと、バランスよい食材のバリエーションは、腸内細菌のバリエーションに現れるということ。
野菜を作る土の中の土壌細菌のバリエーションが野菜の健康を高めること。そして食材のバリエーションが、腸内細菌の量と種類のフローラの鍵を握っています。なぜか鏡のような細菌の連鎖がつながっているような気がします。
出典:(公財)福井県予防医学協会、参考:NHKきょうの健康テキスト 2023年2月ほか
▼月山高原を耕す人たち