亀の尾 美味しいお米のご先祖
現在活躍している美味しいお米の銘柄、コシヒカリ、ササニシキ、ひとめぼれ、はえぬき、山形のつや姫、などほとんどはその血統に濃い薄いの違いあれど、遡ると同じルーツに辿り着きます。
美味しいお米の源流は「亀の尾」という山形県で生まれたご先祖様です。山形県では、誕生から昭和3年までの20年間、亀の尾が作付品種としてトップに君臨していました。
おコメ余りから品質美味しさに
その後、古い時代の食糧増産という時代から反転、品質本位の「美味しいお米」の時代になり「亀の尾」は美味しいお米の品種改良の「親」として活躍することになります。
美味しいお米の時代になり、新しく誕生した、あきたこまち、ひとめぼれ、はえぬきなどの品種の系統を辿るとすべて亀の尾に行き着くことになります。
そして、ついに平成22年になると、亀の尾をルーツとした、山形県を代表する人気ブランド米、「つや姫」が誕生します。
つや姫 その子孫ついに誕生
「つや姫」の開発は1998年(平成10年)に山形県でコシヒカリを上回る味を目指して完成まで十年間の開発期間がかかりました。大本を辿ると美味しいお米の源流であるレジェンド「亀の尾」に行き着きます。
山形県では「夢の米」プロジェクトとしてスタートしました。10万個体の中から選び抜かれて、デビューから10年を過ぎた頃から、ようやく全国から高い評価をいだけるようになってきました。
コメの品種改良は異なる特性を持つ品種を掛け合わせ、できた種を育てて、その中から特に優れたものを選び出す作業の繰り返しの地道な作業の結果です。
病気への強さ、収量などを確かめるため、一本の苗を毎日観察。普通コメは年に一回しか栽培できませんが、開発期を短縮するため、温室で年2回の作付けを行ったこともありました。
「つや姫」美味しいお米の系譜
「つや姫」の系譜をたどると100年以上前に生まれた「亀の尾」というご先祖様に行き当たります。
明治時代、余目町(現庄内町)の阿部亀治氏によって育成され、明治後期から大正にかけて盛んに栽培されたほか、多くの品種改良のベースとしても使われました。
「亀の尾」の遺伝子と先人の想いは「つや姫」にも確実に受け継がれているのです。亀の尾の歴史は古く生誕130年を過ぎました。大正時代は神力・愛国・亀の尾は日本水稲優良三大品種として活躍しました。
コシヒカリも亀の尾の子孫
亀の尾は近代の優良品種であるササニシキ、コシヒカリそして、それに続く現代の主力品種である、はえぬき、ひとめぼれ、あきたこまち等の交配親です。そのほかにも今活躍する多くの品種の交配親になっています。
また国では亀の尾の原種栽培管理を放棄しているので、亀の尾を原材料とした日本酒を作っている酒造店や、一部の農家が自家採種して種子を繋いでいます。酒蔵の関係者もより美味しいお酒、個性のある美味しい日本酒の可能性を探っています。
亀の尾ってどんなお米か
一時代を築いた亀の尾ですが、今では主食用のうるち米として栽培はほとんどなくなりました。品種改良に使われることが、本業になり、ですから亀の尾のごはんはどんな味か味わいたいものですが、作付けはほとんどありません。
しかし、一部の方が酒米としての高い能力に気づいて栽培するようなりました。もちろん、良質米の元祖のお米ですから食味の評価は実証済みです。一般に言われているのは美味しさ以上に高い個性を特徴として評価していています。
特に、米質・食味・耐冷性に優れた品種です。粘り、香り、旨みのバランスが良く、米質が良いため粒張りがよく玄米に光沢があります。また、亀の尾は米アレルギーの方でも食べられる数少ない米品種のひとつです。誕生したのは明治26年(1893年)とても貴重な亀の尾も130年の歴史を刻んでいます。しかし引退はまだまだ無いようです。
▼庄内平野の稲刈