1万個以上のさくらんぼの実が
さくらんぼは桜のように最終的には大木に育ちますから剪定で樹の高さを制限、高くしないように作ります。生育年数で樹の大きさも違ってきますから、サクランボの樹は大きさによって実の着き方も選定のやり方で個性が出てきます。通常は成木1本から100kg前後実をつけます。
個数でいうと5千から1万個以上のさくらんぼが収穫できます。生産者は、脚立などを使い、ひとつひとつ丁寧に、実の色を確かめながら手で収穫していきます。
1本の樹には重量でいうと、樹の仕立て方、樹の大きさ、樹齢などで違いますが、いい状態の佐藤錦で50kgから100kgは実がつくでしょう。実際のところその樹の仕立て方や剪定の違い、その年の気候、遅霜の状態などで出来がまちまちです。
さくらんぼ実 成るまで5年
さくらんぼは苗木を植えて、4年目ごろから花が咲き実をつけますが、一人前(成木)にまるまでは10年間もかかります。 受粉の相性や、その地域に合った品種選びはとても重要です。 樹勢をコントロール出来ているさくらんぼの味は格別です。
さくらんぼに実がなるまでの作業はとてもたくさんの作業があります。さくらんぼが豊作になるにはポイントがあります。気候的に本来は、4~5月上旬の遅霜が軽く、6~7月上旬が比較的湿気と雨が少ないことが望ましい姿です。
さくらんぼ 適地の山形県でも
山形県は全国でも数少ない適作地といえるが、それでも遅霜があり、梅雨の時期もあります。そこで生産者は、燃焼資材や防霜ファンを使うなどして、つぼみや花が凍らないようにこまめに霜対策を行っています。
受粉はミツバチを放し飼いにする方法と、人の手で毛バタキを使う方法などを組み合わせ、確実に受粉して結実を確かめます。また、実が熟す頃に雨があたると実割れしてしまうので、雨除けハウスは欠かせない。さらに、日当たりが悪いと色がつかないことから、収穫期が近づくと、日かげを作る余計な葉をつみとるなど、毎日こまめに手をかけることで豊作に近づいていく訳です。
1-2月は桜桃の剪定と雪
さくらんぼの木の剪定は、冬と夏に1回ずつおこないないますが、冬選定は一年の管理、収穫までを想定した大事な作業です。 冬の剪定は不要な枝を取り除き、不要な枝や新梢を取り除くことです。
日当たりや風通しがよくなり、さくらんぼが元気に育つことができかの決め手になります。冬は雪。時に、大雪注意報や警報が出ると雪下ろし、危険を伴う重労働です。また選定が終わると、すぐに芽欠き、雨除けハウスの雪下ろしがあります。
4月下旬の開花と受粉の大切さ
4月の芽欠きは開花直前まで行って終了します。4月下旬に開花、開花の時には遅霜の対策をしないとおけません。霜注意報が出ると発煙材など、防霜のコーティング剤などがあります。水がある所は散水したりしますが、いずれも完全な防霜とならないのが現状です。
開花して受粉するこの大事な時に強い霜に合うと豊作は遠のきます。霜の降りる場所やタイミングで被害の程度が違ってきます。主力品種の佐藤錦や紅秀峰、紅てまりなどの品種によっても違ってきます。樹によって花芽の進み具合も微妙に違いますので、開花する雌しべの状態によって霜に極端に弱いタイミングがあるからです。
受粉が確認できると摘果に
5月下旬から摘果、確実に残る実なのかを確認できるのが、サクランボの花の満開から20日後といわれています。生理落果が終り、それぞれの枝にどれくらい実が着いているかを確認してから摘果がはじまります。この作業は収穫時にどれだけの実を残すのかというところからの逆算で成立ちます。
サクランボは摘果により、着果制限をすると、高品質で、甘い大玉のさくらんぼが実ります。 着果した粒が多すぎると、小さい実がたくさん実ってしまったり、着色も良くありません。そのままにしておくと全体が生育不良になって規格品にならなくなる恐れがあります。
さくらんぼ雨除けハウスを設置
5月下旬にサクランボの栽培は雨除けハウスがかけられると収穫までは「葉摘み」とか「葉っぱ摘み」という作業が雨除けハウスの下で作業が続きます。余計な葉を落とすことで日光が射してサクランボの実の着色を促しサクランボの品質を高めてくれます。
梅雨時に収穫期に入る佐藤錦は雨除けハウスが出来てから、生食用に全国にお届けできるようになりました。雨除けハウスがないと、サクランボの実は割れたり腐ったり、大きな品質の低下を招きます、ですから雨除けハウスは当時の画期的な発明といえるでしょう。
6月葉摘み、収穫の準備が
葉摘みには大切な役割があります。葉摘みをすることによって、その樹全体の日射量を良くし、風通しを良くし、どの果実にも日光が届くようにしているのです。サクランボ全体に日光が射すことによって実が一斉に着色しはじめることにもなるため、樹全体を見ながら慎重にすすめられます。
葉摘みは熟練のいるさくらんぼの品質を左右する作業、なかなか余人に任せるわけにはいかないといいます。「さくらんぼは最初から最後まで人間の手をかけてやらないとね」と、生産者。収穫の後も肥料を与えたり、冬のさなかの枝の整理、芽かきと続き、一年中世話をする。これで「果樹園の宝石」といわれる理由も納得できることです。
収穫、選別、箱詰め発送作業
6月の中旬になるとやっとのことで収穫、これもひと粒一粒、色づきを確認し、軸ごと優しく手でもぎ取る。パック詰めともなると、粒をそろえ、向きをそろえながらの熟練した腕も必要になります。
収穫したさくらんぼの品質に大きな影響がありますから、慎重に収穫が始まるまでじっくり続きます。6月中旬に収穫作業7月上旬、中旬まで続くことになります。雨除けハウスが設置されていれば雨の日も通常通りの作業が出来ます。朝早い、5時から10時ころまで続けます。
雨除けハウスは雨は防いでくれますが、暑さはには厳しいものがあります。さくらんぼの樹にストレスがかかり過ぎないように気温が高くならないうちに負えるのが理想です。
冬の剪定から、6か月休みなく続くさくらんぼの作業と管理。自家消費の場合はバラ詰めでもいいが、贈答用には、やはり美しく並んだ手詰めは贈答用として人気が高く高価な品。
収穫後の果樹園管理作業
8月お礼肥、元肥の施肥、夏の剪定はあらためて日差しの状態を確かめ、余分な新梢を取り除く目的で、来年のためにおこないます。
9月土作りのために堆肥散布など、10月から雑草刈り11月落葉してから防除、12月降雪対策、雨除けハウスの修理があります。この期間は比較的忙しさから解放されます。しかしさくらんぼばかりでなくリンゴ、ラフランスを栽培している生産者も多くいますから果樹園の忙しさは一年中続きます。
さくらんぼの樹や雨除けハウスに積もった雪が大雪の時は雪害になります。大雪の時の雪下ろしは重労働に、高齢化が雪下ろし作業の深刻さを助長します。
▼佐藤錦の収穫から箱詰め発送まで