さくらんぼの生産量はどれくらい?
日本国内のさくらんぼの生産量は、ここ10年間平均で、18,300t程度です。山形県では、日本全体の約4分の3にあたる13,800t程度のさくらんぼの生産をしており、日本一のさくらんぼ産地となっています。
生食専用の品種、佐藤錦の特長は、見た目がきれいな鮮紅色で光沢もあること。甘みが多く、果皮が比較的厚くて遠地輸送にも耐え、さらに収量が安定していることなどです。
とにかく美味しいサクランボとして魅力を発揮する新品種「佐藤錦」の登場と「鮮度がいのち」である生鮮食料品を全国にスピーディーに配達するヤマト運輸の「宅急便」(昭和51年)誕生も大きな出会いとして見逃す事はできません。
宅急便の誕生でさくらんぼの生食用の「佐藤錦」としての価値が一気に全国規模に広がっていくのです。
佐藤錦の栽培が一気に広がっていく原動力は他の果物の缶詰に押されて行き詰っていた缶詰加工のサクランボ栽培を生食用に生鮮くだものとしての販売に市場を変えていったのです。
この宅配便と佐藤錦の出会いはサクランボの販売方法まで変えていくことになったのです。
▼山形県さくらんぼの状況
さくらんぼの品種は何種類ぐらい?
世界全体では1,300品種以上のさくらんぼが栽培されていると言われています。日本ではそのうちの25品種ほどが栽培されており、そのほとんどが山形県でも栽培されています。
さくらんぼと言えば佐藤錦、20世紀最高の品種と絶賛され、生食用としては他を寄せ付けない圧倒的な支持と人気を得て山形サクランボの王様の地位はゆるぎないように見えますが、ようく見ると本当は欠点が無い分けではありません。
初夏のルビー色の果樹園の宝石に君臨する「佐藤錦」にも 大きな悩みがあります。完熟の佐藤錦の 味は絶品であるが。美味しいものほど命は短く劣化しやすいのです。
日持ちが短く過熟になりやすいなど、指摘される欠点もないわけではありません。佐藤錦の栽培品種の構成比が山形県では70%を超えており、佐藤錦の収穫適期に対応しきれない年も出てきました。
日本で栽培されている生食用のさくらんぼのほとんどは、甘果おうとう(セイヨウミザクラ Prunus avium)に分類され、他に酸味の強い加工用の酸果おうとう(スミミザクラPrunus cerasus)などがあります。
▼さくらんぼの品種 佐藤錦ほか
さくらんぼは何時ころ食べれる?
一般的には、加温ハウスでの栽培は5月頃から出荷が始まり、メインである露地栽培(雨よけテント含む)の出荷は6月中下旬にピークを迎えます。品種やハウス栽培の組合せにより山形県内では5月から7月中旬ごろまでさくらんぼを楽しむことができます。
特別なものとしては、加温ハウスで栽培され1月の初市に出荷されるものや、さくらんぼを長期貯蔵し8月に出荷する取り組みも一部で行われています。その年の気象条件により収穫期間は前後することがあるので最新の情報を入手しましょう。
サクランボの美味しい季節は何時でしょう、さくらんぼの旬ということになりますね。それでは産地の山形さくらんぼの旬について栽培方法と収穫時期を見ながら学んでいくことにします。
大きく分けると早生種(6月上旬:紅さやか)中生種(6月中旬、下旬:佐藤錦)晩生種(7月上旬、下旬:紅秀峰)になります。それぞれの旬に合ったさくらんぼが美味しいことにとなります。
さくらんぼは通常栽培では6月中旬から7月下旬までが山形さくらんぼの美味しく出回る旬といわれています。
しかし、雪が降り始める11月から12月の冬の寒さを経験させたサクランボの樹に温室設備によってビニールをかけてボイラーで加温して育てます。
そうすることで、2月中旬頃には白いサクランボの花が咲き始め、ミツバチを放って授粉をたすけることで、4月上旬には立派な佐藤錦が収穫されることになるのです。
▼サクランボの旬 美味しい季節は
さくらんぼの樹にビニールをなぜ張るの?
収穫が近づくとさくらんぼの実は水にとても弱く、雨に当たると果皮に亀裂が生じ割れてしまいます。これを「裂果」と言いますが、実割れを防止するために昭和46年頃に雨よけテントが開発され、昭和の後半から広く普及し始めました。
また、土壌中の水分や空気中の湿気の影響により実が割れてしまうことがあり、生産者は水分の管理に非常に気を使います。例年、色付きの始まる5月下旬から6月上旬に、雨よけテントのビニールかけを行っています。
写真は東根市の大森山から東根市のサクランボ畑を撮りました。白い所がビニールが広がった雨除けハウスです。
山形のさくらんぼの旬は6月から7月です。6月は雨の季節です。梅雨の始まりから終わりにかけて、梅雨とサクランボの旬が重なります。さくらんぼは収穫のころに雨にあたると実が割れたりして商品価値が無くなります。
このためにさくらんぼの生産農家はある工夫をしました。「サクランボの樹に傘のような屋根を架けよう」そうすれば雨が降っても大丈夫だと考えたのです。
▼完熟さくらんぼと雨除けハウス
さくらんぼの大きさの目安は?
さくらんぼのサイズ基準は、都道府県により異なりますが、全国生産量1位の山形県の基準をお伝えします。そして山形さくらんぼの品質とブランドを守るために作られた「山形県青果物等標準出荷規格」があります。
3L(28mm以上)、2L(25mm以上)、L(22mm以上)、M(19mm以上)のサイズが主に流通しています。目安としては、2Lが500円玉大、Lが100円玉大、Mが1円玉大と覚えておくとよいでしょう。数量は極めて少ないですが4L(31mm以上)が収穫されることもあります。
山形県では出荷基準をしっかり守るために、基準プレートというさくらんぼのサイズを計測できるゲージを生産者に配布し、サイズを常に意識しながら厳しいサイズ意識で選別して山形さくらんぼのブランドの品質保持に努めています。
山形の産地ではどこのホームセンターに行ってもこの基準プレートがお店で手に入ります。生産者の選果、出荷する作業場には必ず4-5個のサイズ基準プレートが見かけられます。つまり、選果する現場ではサイズを基準プレートという穴の空いたゲージを使って常に大きさを測りながら選果しています。
▼さくらんぼのサイズと等級とは
おいしいさくらんぼの見分け方は?
美味しい佐藤錦の選び方イメージからご説明します。サクランボ、佐藤錦は色は濃いものを選ぶといいでしょう。サクランボは美味しい状態に熟しているかをまず色でみます。
しっかりと紅く色付き、鮮やかでつやがあるものを選びます。サクランボは追熟しないので、白、黄色みが残っている物が多い物はやめた方が良いです。
また、部分的に茶色っぽく変色したり傷が付いているものも避けましょう。次に鮮度ですが、軸(枝)が緑の鮮やかなものを選びます。鮮度が落ちてくるとこの枝が茶色くなってきます。粒が大きいほど値段が高くなる傾向にあります。同じ値段なら大粒を選びましょう。
総合的に、「粒が大きく、色が赤くて艶、張りがあり軸が太くて緑色で新鮮」理想イメージではありますが、これに近いものを選びましょう。
- つやがあり、色が均一で赤色が濃くツヤがある
- 軸が太くて新鮮な緑色をしている
- 軸の付け根のくぼみが深く、軸が抜けていない
▼さくらんぼ 佐藤錦の選び方
▼さくらんぼの保存方法
資料参考:山形県農林水産部園芸大国推進課