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くだもの歳時記

さくらんぼの授粉 蜜蜂とマメコバチ

山形さくらんぼ 佐藤錦 さくらんぼ開花

さくらんぼに実がどれくらいつくのかを決めるのはに大切なのはサクランボの満開の期間のお天気です。授粉できる時期に環境が揃うかにかかっています。さくらんぼの開花授粉はミツバチ、マメコバチなどの昆虫が主役なのです。

 

ミツバチとマメコバチの行動


昆虫が活発に活動できる温かい陽気がこの期間の理想のお天気なるかどうか豊作か否かに大きな影響があります。この蜂たちには特徴的なところがあります。ミツバチは行動範囲が広く、マメコバチは丁寧な授粉という特徴があります。


これらの蜂たちが活躍できる気温は12~15℃が最低といわれています。もちろん湿度や風速なども微妙に関係してきますから一概には言えません。雨がちな冷たいお天気が続くと昆虫が動けなくて授粉できずに大変なダメージを受けることになるからです。さくらんぼ栽培の難しさも、収穫量がお天気に左右されるこの辺にあります。


そして、収穫に一番影響するというサクランボの満開時期の期になるお天気は、開花から1週間の晴れ、最高気温22℃~24℃と願ってもない予報となっているので、大いに期待したいものですね。少なくてもミツバチの活動する気温15℃以上と晴天が最低条件なのですが、地蜂と呼ばれるマメコバチは12℃で活動を開始するとされ、天候不順の年には大きな力になります。


ただ、近年ミツバチの大量死や環境の変化でマメコバチなどの昆虫の生息数も年々減少していることが心配されています。

 

ミツバチ さくらんぼ 佐藤錦

ミツバチは活動範囲も広く受粉には欠かせない


 

 蜜蜂 日本には2種類いる


日本ではニホンミツバチ、セイヨウミツバチの2種が飼育(養蜂)され蜜の採取が行われています。また作物の受粉にも広く用いられ特にセイヨウミツバチの養蜂においては規格化された巣箱を用いて大規模な採蜜が行われますが、ニホンミツバチの場合は一部の養蜂家が人工巣を用いた養蜂を行っています。

 

日本ミツバチは在来種といわれるだけあって、日本の環境にはなじみやすく病気にも強い特徴があります。特に低温での活動の活発なところは果樹園の授粉にはとても大切な要素です。養蜂業以上に果樹園で活躍するミツバチとして育成できる道を試してみたいと思います。

 

今までの日本ミツバチの養蜂は多くは野生集団を捕獲して飼育し採蜜の際は巣を破壊して搾り取ると言う伝統的な手法が主であり蜂蜜の流通量も少ないのが実態です。西洋ミツバチのように大量生産は出来ないが、特徴ある美味しい高品質の蜜を採取できるようです。今いろんな方面から日本ミツバチの可能性を期待されています。


日本に生息していると言われる2種類のミツバチの行動範囲

▼セイヨウミツバチ(養蜂に使われる蜂です)は半径約4キロ

 

▼ニホンミツバチ(野生種)は約2キロ

と一般には言われています。ただ、近くに蜜源が無ければニホンミツバチでも6キロ以上の行動範囲を飛んでいることは実験で確かめられているといわれています。ニホンミツバチに限らず、巣からより近く、より豊富にある蜜源からミツバチは優先的に採餌しますので、普通は、両種とも500m~2km位が主な採餌範囲になります。

 


ニホンミツバチとは

温室さくらんぼ 山形さくらんぼ 佐藤錦

日本ミツバチは西洋ミツバチ蜂より小さい

明治以前は、日本全国で民家の軒先等で飼われることもあった日本ミツバチも、蜂蜜の大量生産ができる西洋ミツバチが輸入されてからは、生産性の面からすっかり養蜂家から見放される存在となっていきました。

ところが最近、日本みつばちには西洋みつばちにはない様々な能力や特長があることがわかってきました。生態系やバイオテクノロジーの面からも保護が重要となってきています。

 


日本ミツバチの特徴

山形さくらんぼ 佐藤錦 完熟さくらんぼ

左から西洋ミツバチ、日本ミツバチ。
日本ミツバチは西洋ミツバチより
少し小さく、黒っぽい

 

1.低温でも活動性がある。

 

2.ダニ寄生の害がほとんどない。

 

3.チョーク病の発生がほとんどない。

 

4.アメリカフソ(腐蛆)病の発生がない。
(ただし、ハチノスツヅリガには抵抗力が弱い)

 

5.性質がおとなしく、やたらと刺さない。
(神経質の面もある)

 

6.プロポリスを集めない(巣が粘らない)。

 

7.天敵のスズメ蜂に対して、効果的な防衛法をとる。

 

8、キンリョウヘン(ランの一種)の花に分封群も集まる。
(西洋みつばちは、この花には興味を示しません)

 

9.巣が非常に柔らかい。

(日本在来種みつばちの会より)

 

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ミツバチやマメコバチは一定の気温にならないと活動はにぶる。


 

マメコバチの受粉効率は高い


マメコバチの行動範囲は蜜蜂より狭く50~60mですので、約80a に1群設置します。羽化したときに、餌となる花粉源がないと定着しません。マメコバチの行動範囲は巣から半径5-60メートルほどとミツバチの約4キロよりもだいぶ狭いのですが、ミツバチよりも効率の良い授粉作業をします


花粉を取るといえば、お天気さえ合えば一日に4,000花くらいを訪ねます。ミツバチたちと比べると、5、6倍の花を訪ずれる計算です。


マメコバチはいつも、花の雄しべの上に腹ばいになり、足で花粉をかき集める習慣がありますので、ほぼ100%柱頭に接触できるのでこの習性が授粉効率が高まる理由です。


 ▼マメコバチ、ミツバチ授粉の様子 

マメコバチの活躍


そして、マメコバチの仕事は、ソメイヨシノ桜の開花頃から約1ヶ月間飛びまわり、集めてきた花粉の団子を作って、ヨシのサヤに卵を産むのです。巣箱とその中にヨシの樹ったものが詰められれば、とても増殖する力を発揮することができます。 


したがって、自家で養成し増殖マメコバチたちがいることで、サクランボの生産者は恩恵を受けています。喜んで巣箱の更新やヨシの更新をして来年に備えます。


ただ、短所もあるようで、マメコバチの行動を注視してみると風に弱いように見えます。少し風があると蜜蜂と比べ体が小さく軽いからか風に流されたりしていますから、4000もの花を1日に飛び廻っていくには、風などの条件も考慮して考えた方がいいでしょう。

 

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マメコバチは地蜂と呼ばれ園地で巣をつくり越冬して繁殖する


 

青森りんごの人工授粉に


マメコバチはツツハナバチ属。体長は1-1.5センチほど。ソメイヨシノの開花に合わせて1カ月ほど花粉を集めて飛び回りますが、リンゴなどバラ科のサクランボの花粉も好んで集めます。生産者がこのマメコバチの飼育技術を年々向上させたことから、最近青森では人工授粉を行うリンゴ農家がめっきりなくなってきたのです。


青森県ではりんご園にマメコバチが増殖する前はまでは、毎年5月にりんごの花が咲いたら、人工授粉という作業が始まっていました。綿棒の先に採取した花粉をつけ、花の1つ1つに授粉する大変な作業なのです。


この人工授粉の光景がめっきり少なくなりました。それは花粉を集める過程で、りんごの花の授粉もついでにやるようになったからです。ですから青森のリンゴ農家の人たちはマメコバチをとても大事にして感謝祭などもしているといいます。

 

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マメコバチの巣箱、中はヨシが入っている。ヨシの中に産卵


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マメコバチの巣箱の中はヨシがいっぱい詰められています


 

さくらんぼ蜜蜂とマメコバチ  まとめ


明治以前は、日本全国で民家の軒先等で飼われることもあった日本ミツバチも、蜂蜜の大量生産ができる西洋ミツバチが輸入されてからは、生産性の面からすっかり養蜂家から見放される存在となってきたという事です。


可能性としては西洋ミツバチと違い日本ミツバチは山形で越冬できるかもしれません。という事は地元で増殖できる可能性があります。はちみつの大量生産とい面では西洋ミツバチに遅れはとっているものの果樹園の授粉については可能性があります。何とか地元で増殖できる方法を感得たいものです。


特に、西洋ミツバチに比べ日本ミツバチは低温でも活発に働くという特徴は大いに期待をふくらませるに値します。マメコバチ同様に増殖出来る方法を模索していきたいものです。


やはりさくらんぼを始め果物は果樹園を大切にして地場で育成できるミツバチ、マメコバチやその他の昆虫類が住みやすい環境を整えることも生産や収穫に結びつくわけですから昆虫類の住みやすい優しい果樹園環境、持続可能な体系をもう一度考え直す必要があるような気がします

 

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