こうとくは 無名のりんご
蜜入りリンゴと言えば、山形県で技術が完成された「サンふじ」というおいしい無袋栽培のリンゴですが、山形県の朝日町で開発された美味しいリンゴが有名です。こちらは正統派といえるでしょう。
これとは、違った個性派の無名な美味しいリンゴがあります。あまり知られていないリンゴですが「こうとく」という品種のリンゴです。長年、見た目の悪さと小玉が市場評価をとれないまま、嫌われていました。
このリンゴ、最近りんご好きのお客さんから高い評価をいただけるようになりました。
実は少し小ぶりで、見た目はどこにもあるリンゴだけど蜜入りがすごい。全体の8割に蜜入りというのも中にはあり、香りが強くとにかく美味しい。「ありえないリンゴです」 そのくせ、知名度が低くあまり知られていません。
こうとくは冷蔵保存する
こうとくの欠点は蜜入りが良いことの反面完熟なので日持ちが良くない欠点があげられます。それほど完熟、それほど蜜入り、それほど美味しいということの証しでもあるわけです。
皆さんの中にはすでにご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが味の農園でも販売していますが、知名度がないの上に宣伝が下手なのですがどういうわけか毎年売り切れてしまいます。
しかし、世の中には完璧はありません「こうとく」にも欠点が・・・それは、蜜が多い分、劣化が早いので、日持ちしません おいしい期間が短いリンゴなので、標高が低いところから高い寒いところのリンゴに切り替えて販売しています。
蜜多いこうとくは日持ちしない
こうとくは蜜入りで糖度も高く美味しいだけにデリケート、買い求めてお家に着いたら直ぐに冷蔵庫で保管して下さい。できれは野菜室に、乾燥しないようにポリ袋に入れ保管すれは3週間は美味しくいただけます。
できるだけお部屋の常温、暖かい部屋に保管するのは避けて下さい。こうとくのホントの美味しさがすぐに失われてしまいます。
これには、こうとくの蜜入りが影響していると思われます。蜜入りの多いりんごほどデリケートで日持ちしないという現実があります。ご購入された方は、そこをご理解いただいて大事に保管して美味しく召し上がっていただくことが大切だと思います。
こうとくは栽培に手間がかかる上、小玉で収穫量が少なくないので生産者の生産量も少ないので高価になっています。せっかくの高価なこうとくを「もったいない精神」で大事に食べることは大切なことではないでしょうか。
お店では常温で販売されていますから家に持ち帰ったら直ぐに冷蔵庫に入れ、召上る分だけ取りだして召上ることが美味しさも無駄にしないためにも大事なことです。
玉廻しも出来ず着色ムラが
何故かこうとくの軸(ステム)は短く太いため弾力がないので、収穫前の「玉廻し」が出来ません。そのため着色にムラが出来ます。サンふじは玉廻しで太陽光を満遍なく当て、全体に着色を良くしていきます。フジりんごの軸は細長く弾力があって玉回しが出来るのです。
それに比べ、「こうとく」の軸は短く木質化していないので玉廻ししようとすると軸が取れてしまいます。玉回しが出来ませんから当然太陽が当たるほうとそうでない方の色が違ってくるのです。当然ですがりんごとしてはあまり見た目がすぐれないということで市場評価が低かった理由にもなっています。
つまり、味で勝負のど真ん中をねらったりんごとして「こうとくは」これから市場で闘っていくことになります。
見た目がダメなら味で勝負する
今年ももうすぐ「こうとく」の季節が来るよ ・・・ですから届いてからできるだけ早く食べないと、おいしさがすぐに低下してしまいます。全てにおいて 美人薄命!蜜満る美人「こうとく」は薄命美人と言えるかもしれません。
「おいしさは、弱さ」にあるのかもしれないですね。「こうとく」という品種名では何か物足りません。こんなのではいかがでしょうか美人薄命リンゴ「こうとく」または、蜜女王「こうとく」というイメージにしたいですね
そうですね、怪我の功名というか、勝手ながらいいネーミングですね。今後使っていくことにしましょう。こんなとき、自画自賛の思い込みのつよさと勝手なところは思いつきのB型気質が垣間見えますね。
しかし、これは本気、本気!なんです。心底、多くの人にお試しいただきたい山形のりんご「こうとく」です。
こうとくは3回に分けもぎ取り
阿部りんご園では、こうとくの園地を3カ所に持っていますが、日持ちが悪いのでなおさら、一気に収穫することをしないで3回に分け5-20日間かけて蜜入りがいいのを選びながら収穫していきます。もちろん手間は何倍もかかりますが、この方法で蜜入りの新鮮なこうとくリンゴだけをお届けすることが出来るのです。
3カ所ある園地の1回目の収穫を終えて中、5-6日をおいて収穫し、園地を3周することになるのです。そして畑によって蜜入り、完熟の遅い畑、遅い樹など個別の個性を知りつくして、美味しくなった完熟で蜜入りのこうとくだけを捥いでいくのです。
3つあるこうとくの園地の中でも特大のこうとくになるのは樹齢35年の畑ですが、この畑は実は大きくなるが蜜入りと着色が遅いので3つの園地の中でも最後に収穫するといったことです。
こんなご要望も頂きました
ある時こんな声をいただきました。『「こうとく」という珍しいリンゴを見つけたので買ってみました。まず驚いたのは袋を開ける前からとても甘い香りがしてきたのです。そして切ってみると蜜がいっぱいです。
ひと口食べると強い甘味が広がり、さらに適度な酸味も加わってなんとも風味が豊かでした。後日、そのお店やほかのお店にも行って捜しましたが「もう、ありません」と言われました。
ぜひ、もっと生産していただきたいです・・・・。もう一度食べてみたいのです・・・。』
何とか期待にお応えしたいと生産者の皆さんとお話をすすめています。少しお待ちください。
▼こうとく園地 収穫作業
高徳のお尻の状態で蜜入りを判断して、ひとつ一つ蜜入りこうとくだけをもぎ取ります。