つや姫 誕生の物語とは
「つや姫」の開発は1998(平成十)年に山形県でコシヒカリを上回る日本一の味を目指して十年間の開発期間を経て生みだされた秘蔵子。長年作付けしてきたササニシキやはえぬきの人気に陰りが出ていたことに大きな懸念があった。
山形県は起死回生の一手として「夢の米」プロジェクトとしてスタートしました。山形生まれのレジェンド亀の尾を交配親として、十万個体の中から選び抜かれて、ようやくデビューを迎えることができました。
コメの品種改良は異なる特性を持つ品種を掛け合わせ、できた種を育てて、その中から特に優れたものを選び出す作業の繰り返しです。病気への強さ、収量などを確かめるため、一本の苗を毎日観察。普通コメは年に一回しか栽培できませんが、開発期を短縮するため、温室で年2回の作付けを行ったこともありました。
「つや姫」の系譜をたどると「亀の尾」というレジェンドの品種に行き当たります。明治時代、余目町(現庄内町)の阿部亀治氏によって育成され、明治後期から大正にかけて盛んに栽培さたほか、品種改良のベースとしても使われました。「亀の尾」の遺伝子と先人の想いは「つや姫」にも確実に受け継がれているのです。
山形の品種から日本つや姫に
山形の新品種「つや姫」は2010年に10年間の研究開発のすえに満を持して全国デビューしました。デビュー当初は種子の制限もあって栽培面積も少なく、業界での評価もまちまちでしたが、11年、12年と全国での評価が高まり、特別栽培米という性質上、品質を重視して少しずつ生産量を増やしてきました。
この方針が功を奏したのか人気、実力ともに高まり、多くの皆様から支持を得ることができ、山形の新品種「つや姫」から日本の新品種「つや姫」へと成長させていただきました。当初はあまりの人気に一年を通じてのお届けができずにご迷惑をおかけしました。そこには山形県の厳しい審査基準があり時間がかかりました。
今年の秋2013年産米から味の農園でも佐藤芳紀さんはじめ生産者の皆さんからご協力を得て、ようやく一年を通して販売できる一定の量を確保する見通しができましたのです。つや姫は限定された生産者が限定された田んぼで、限定された栽培方法で初めて生産できます。
山形県が10年かけて開発した
「つや姫」ブランドコンセプト
日本一を誇るブナの原生林が育む滋養に満ちた水系、先人の知恵と四季鮮やかな山形の風土が生んだ、わが国の美味しいお米のルーツとなる「亀ノ尾」。
その正統の系譜から、ついに新ブランド米が誕生しました。
際立つ「粒の大きさ」、「白い輝き」「旨さ」、「香り」、「粘り」は、ごはんそのものがご馳走。
味わうほどに至福の喜びに満たされます。
山形の農の匠が丹誠込めて育てる、安全で、おいしさを極めた特別なお米。
日本中の、何よりも「白いごはん」が大好きな人にお届けします。
お米の源流 亀の尾から開発
明治時代に本県庄内町(旧余目町)で阿部亀治氏が育成した水稲品種「亀の尾」は、品種改良の交配親として盛んに用いられ、その良食味性が「コシヒカリ」や「はえぬき」に引き継がれています。
この山形県育成品種である「はえぬき」は、平成3年に育成され、収量・品質が安定していることから、いもち病に弱く倒れやすかった「ササニシキ」に代わり、瞬く間に県の主力品種に駆け上がりました。
しかし、全国的に「コシヒカリ」の作付けが拡大していく中で、生産者からさらなる良食味品種が求められてきたことから、極良食味系統の開発が急がれました。
そこで、平成10年から「つや姫(山形97号)」を山形県立農業試験場庄内支場(現 山形県農業総合研究センター農業生産技術試験場庄内支場)において育成しました。
育成期間を短縮するために、暖房した世代促進ハウス内で冬期間も栽培しました。また、ほ場での栽培では苗を一本ずつ植え、病気に強いか、収量が穫れそうか毎日観察しながら選抜しました。育成世代の早い段階から実際にご飯を炊いて食味試験を行いました。
こうして、10万分の1の確率で選抜された山形県オリジナル品種「つや姫(山形97号)」は、亀の尾の良食味性を引き継いで誕生しました。新品種「つや姫」は量食味の品種のレジェンド「亀の尾」のお米の源流に立ち返り誕生したのです。
つや姫の食味の特性
「つや姫」の一番の特徴は、なんと言ってもその「美味しさ」です。食味ランキング(お米の美味しさの評価)を行っている(財)日本穀物検定協会の食味官能試験(実際に食べてみて、食味を判断する)において、外観については「艶がある」、「粒が揃っている」など、味については「甘みがある」、「うまみがある」などの評価が得られました。
お米を玄米から精米するときに感じられるのは、粒ぞろいの良さ。お米の透明度の高さ。全体に大粒という。見るからに美味しいお米の条件が揃っています。
また、農業総合研究センターの食味官能試験でもコシヒカリを上回る結果となりました。
つや姫の品質の特性
専門家の解説は「つや姫はコシヒカリに比較し粒の大きさのバラツキが小さく、玄米の大きさ(粒厚)2.0mm以上の割合がコシヒカリと比較し5%程度多く、粒ぞろいが良好です。」「つや姫の玄米白度は最適値:20.0に近く、他の品種に比較して玄米の外観品質は良好です。」
簡単に言えば見た目は白く大粒で粒ぞろいがいいうえに透明度も高く白さも充実しているといえます。他の品種と比較して粒ぞろいの良さ。透明度。大粒のおコメといえます。
「つや姫」寿司米での可能性
調査方法
つや姫の寿司適性を評価するため、山形県鮨商生活衛生同業組合の協力のもと、県内の20店舗を対象にアンケート調査(単品での使用を依頼)を実施した。4月中旬に精米した「つや姫」のサンプルを1店舗3㎏送付し、アンケート用紙を5月下旬までに回収した。回答したのは15店舗(回収率75%)であった。
調査結果
◇その他
現在使用している品種は「ササニシキ」との回答が最も多かった。年間使用量は店舗により大きく異なるが、平均すると80 袋(30 ㎏袋)前後であった。調達先は米穀店、産地直送、JA など多方面にわたっていた。1回の炊飯量は2升(2.85 ㎏)との回答が多く、炊飯方法はほとんどが「ガス」使用であった。
◇主な意見等
全体的に現在使用している米より寿司適性が高い。今後是非使ってみたい。
炊き上がりの粒がしっかりしており、潰れないし、冷めても美味しい。握りやすい。香りも良い。寿司の味を引き立てる。酢飯調整しだいでは最適な寿司米である。
「シャリ」としては今一つの感があるが、炊き方を研究して今後使ってみたい。
価格しだいでは今後使ってみたい。
香りや甘さが少し足りない。
現在使用している米とあまり代わり映えしない。現在使用している米の方が優れている。
参考文献:山形つや姫ブランド化戦略推進本部
▼庄内平野の秋風に揺れる稲穂 酒田市