すももプルーンの豊田地区
フルーツの町を代表するすもも(プラム)は、サクランボの生産だけが際立つ山形県としては意外な感じがします。スモモ生産で東北一の生産量を誇ります。すももの生産量は山形県が全国で4位です。やはりフルーツ王国と自負する底力ということでしょうか。
全国4位という山形スモモ、その30%を中山町が生産しており、生産地として高い評価を得ています。 すももは、中山町の西部、豊田地区を中心に生産されており、「ふるさと山形の道百選」になった「中山町プラムライン(町道金沢大江線)」沿いの傾斜地にすももの園地が広がっています。
奇跡のリンゴにあこがれた
大石早生、すもも生産者の鈴木豊博さんは山形県中山町から幾度となく津軽の自然栽培で有名な「奇跡のリンゴ」にあこがれて木村秋則さんの研修会に参加しました。この研修会に参加していく中で、大きな使命感にかられたことが大きかったといいます。
「私がなぜこの自然栽培をひろめているかというと、大きな目的としては地球を修復したいという思いからなのです。肥料や農薬によって、土が汚れ、川が汚れ、海が汚れていくことで、温暖化が進みます。解決方法はいろいろあると思いますが、私は、肥料・農薬・除草剤を使わない農業をひろげることで温暖化に歯止めをかけたいと、奔走しているところです。」研修会で木村さんの話に引き込まれてきます。
木村さん独特の津軽弁での自然栽培の研修会はあっという間に時間が過ぎて行きました。自分も地元の中山町で自然栽培を実践したいという意思が強くなって始めたのです。
「自然栽培に切り替えると、田んぼに本来の生態系が戻ってきます。岡山県の自然栽培に転換した田んぼでは、いままですがたを見なかったレンゲの花が咲くようになり、そこにミツバチを放つと、どんどん巣箱が増えていくほどです。」木村さんの研修で、もともと強かったふるさと愛に目覚めます。
すももを樹上完熟で収穫する
循環型の農業が出来たらどれほど地域が活性化していくことだろう。SDGS 永続的な農業の形です。
木村さんが、リンゴの無農薬栽培に挑戦する背景には、農薬に苦しめられるリンゴ農家への想いがあったと言います。それは、奥さまが、農薬に過敏な体質で、「妻に辛い思いをさせないですむようにしたい」という願いから始まったそうです。
しかし、木村さんの、無農薬でのリンゴ栽培の挑戦は、想像を絶する苦難の連続でした。醤油、牛乳、酢など、農薬に変わる“何か”を探して試行錯誤の日々を重ね、やがて収入はなくなり、どん底生活に突入。一時は全てを諦め、死を決意したことも…。壮絶な孤独と絶望を乗り越えた末に実現したのが「奇跡のリンゴ」なのです。
現在、木村さんは無農薬のリンゴ栽培を普及するための活動にとどまらず、様々な分野における無肥料・無農薬・無除草剤の自然栽培農業指導のため、国内外を飛び回っています。
木村秋則(きむら あきのり)
1949年、青森県弘前生まれ。リンゴ農家の婿養子となり、農薬に弱い妻のために1978年から無農薬のリンゴ栽培を試みる。実践と失敗を繰り返しながら11年目に肥料と農薬を使用しない自然栽培に成功。リンゴ生産を続けながら、日本のみならず世界に向けて「自然栽培」を普及している。
すももの里で自然栽培に挑戦
昭和になるまで中山町の農業は主に稲作と養蚕でしたが、古くから農家の庭先にはすももが植えられていて、子どものおやつなどで食されていました。
昭和30年代になると、地元の先達者が豊田地区の気象や土壌条件に適する作物として、すもも(大石早生、ソルダム)を栽培しました。この頃は、農薬散布が無いため虫食い対策に袋掛けを行い、販売も個人で市場に持って行きました。
当時県内ではサクランボが換金作物として植えられて、すももは、販売する果物としては見向きもされませんでした。昭和45年にすももを農協に集荷したところ、リンゴに匹敵する収入が得られたことから、すももの産地化を目指し会員20名で「すもも栽培同志会」(現在は会員170名)が組織されました。
平成になると、すももの出荷量を増やすために加工品が作られるようになりました。平成2年に「すももワイン研究会」が、ソルダムと大石早生のワインを発売、その後に農家のお母さん達の組織「生産学級」がジャムを販売しました。まさにスモモの町、中山町の誕生です。
また、生食としても高級品種「秋姫」が栽培されるようなり、栽培面積、出荷量ともに増加していきました。ギフト用の高級品種もいずれ自然栽培で作ってみたいと鈴木さんは考えています。
スモモ 酸味まろやかに栽培
自然栽培でスモモを樹上完熟させたいという目標は大石早生の酸味をまろやかな酸っぱさにして生で美味しい、加工品にしても美味しいといわれる安心安全なスモモを生産していきたいという願いがあります。
約80アールのスモモ畑を徐々に自然栽培のすももに切り替えていく計画。スモモならではの加工品も想定しています。大きな計画に向かって、循環型の農業としての自然栽培にまい進中です。
「私がなぜこの自然栽培をひろめているかというと、大きな目的としては地球を修復したいという思いからなのです。肥料や農薬によって、土が汚れ、川が汚れ、海が汚れていくことで、温暖化が進みます。・・・」
木村秋則さんから学んだ多くのことを実践していくには途方もない時間が必要に感じていますが、どんな時でも自然栽培の基本から思い返していくとやり抜ける勇気がわいてくるといいます。
すももとプルーンの食べ方
1、酸味抜き(3-7日)したスモモを食べる直前に皮を洗って、食べやすい大きさに切って下さい。
2、切るのが面倒だという方には、かぶりつきがオススメ!皮に栄養がたっぷりあるので皮ごと食べると効果的です。
3、プルーンは表面の皮にシワが出るくらいまで完熟させて、中心に直径1cm前後の種がありますので、アボカド同様の切り方で半分ずつの実を反対に回すことで切り分けられます。
4、皮には酸味があります。スモモは皮の部分に酸味がありますが酸味抜きすることで食べやすくなります。表皮に酸味があることで害虫や病気から果肉を守っているといわれます。
すもも自然栽培 樹上完熟 まとめ
酸っぱいスモモとして印象深い大石早生ですが、自然栽培して樹上熟成するとその酸味はまろやかになり、酸味そのものが魅力的になるといいます。
そのデリケートでまろやかな酸味はアイスクリームとの相性が抜群。アイスクリームの素材との生産も考えています。
大石早生の食べごろは大石早生は収穫後にすぐ柔らかくなってしまうことから、運送に耐えられる固さの黄色い状態で収穫されます、ですから取たては味がやや落ちます(トマトと同じです)。
ですから、食べごろは、樹上熟成したものでも同じで、冷蔵庫で保管しておき、注意して見ながら全体が赤くなった頃が食べごろです。 半分くらい赤くなっている状態で購入した場合なら、冷蔵庫で3日くらい、黄色いものは7日くらいで赤くなると思います。
▼大石早生 収穫する 山形県中山町