◆◆ ばっちゃん物語 第5話◆◆
■冬のあさはお父ちゃんと一緒だから
赤いほっぺの女の子は冬のあさが大好き。
それは寒い冬の朝は、いろりに火をおこして薪木で暖をとるのですが
朝起きるといつもお父ちゃんが囲炉裏のそばでどっかと座って火の世話をしている。
そのお父ちゃんの胡坐の中にたっぷり抱き入れてもらって
朝ごはんが出来るまであったまるのがなにより楽しみでした。
このときは2人だけでお父ちゃんとお話が出来る唯一の時間です。
寒い冬の大好きな時間です。
一日の始まりであり、何の不安も感じない至福の時間に
満ち足りていました。
学校から帰ると日常は甥っ子、姪っ子の世話をする子守が主な仕事。おしめの交換
洗濯もするし、すぐ下の弟のめんどうをみるのも自分の仕事でした。
いつもは、家の中や周りで子守をしているのでしたが
近所の友達と神社の境内まで足をのばすこともしばしばありましたが
それ以上遠くには行かないようにと、かたく約束させられています。
それでなくても村の中は、誰も顔なじみの家族のようなところ
何かあればすぐに誰かが声掛けてくれる安心感もあったのです。
冬になると日暮れが早くなって、晩ご飯の時間も早くなります。
今日一日の話題で夕食も盛り上がりにぎやかなひと時です。
夜までにはあれほど、強かった季節風もおさまって、雲の切れ間からは
大きなお月さまが覗いています。
(続く・・・)