◆◆ ばっちゃん物語 第4話◆◆
■ばっちゃんのお父ちゃんとお母ちゃんのお話し
ばっちゃんのお母ちゃんは農家の奥さんにしては茶目っ気のある
どちらかというと可愛げのある天然で愉快な人でした。
誰にでも分け隔てなく接していましたから、周りのみんなから愛されていました。
でも子供に対しては、しっかり躾を怠らないでたまには
ちょっとだけ厳しいところもあったのです。
お母ちゃんの根っからの明るさのおかげで、いつも笑顔の絶えない
笑い声の絶えないにぎやかな日常でしたから楽しい毎日でした。
今年も農業の忙しい季節が過ぎ、北からの季節風が吹き始めるころになると
時雨模様の寒い日には納屋で藁仕事が始まります。
ばっちゃんの父親は物静かな穏やかなやさしい人。
真面目な働き者だったから、村では人望がありました。
大人たちの会話の中で伝わってくるそんなお父ちゃんのことが
大好きで自慢だったのです。
今と比べるとモノない時代でしたが、根っから明るいお母ちゃんと
働き者でやさしいお父ちゃんに見守られて、
北風に負けないでほっぺたの赤いまん丸顔の女の子は元気に
すくすく育っていくのでした。
戦争の雑音は世の中を包み込んでいましたが、
この家族には大きな影響はなかったようです。
この家の中だけは冬に向かって静かな時間が続いていました。
(続く・・・)