美味しい桃をつくるために
美味しい桃をつくるには生産者の方々が工夫をして、いろんな方法が試されているようです。これは果樹園のある地域の違いや気候や土壌、肥料のやり方、果樹の品種や樹齢、剪定や摘果のやり方など様々の要因によって異なりますので一概に言うことはできません。
あくまでも、標準的な例をお話すれば、桃の畑10アール(a)あたり24本の木を植えて、大体10000から12000個、桃の栽培は、つまり一本の樹で平均500個くらいの果実を収穫することが可能だということになります。
桃の樹1本日につき最低500の花は摘花しないで残されることになります。桃は大きく立派な実を着けるために最初に花を摘花で制限し、次に着いた実を摘果、を幾度となく摘果を続けてようやく収穫を迎えるのです。
桃は花の摘花 実の摘果で収穫に
桃の花は山形では果物の花の中でも早く咲きはじめます。4月下旬ころからさくらんぼやラフランスなどと同じころ派手なピンク色の花が咲き始めるのです。しかし、この桃の花が満開の期間はごく短い期間にしか楽しむことはできません。それは桃の花の満開時には早くも実の数を制限する「花摘み」する宿命がまっているからです。
桃は寒さに弱いため厳寒期に選定や芽欠き作業は控えるようです。できるだけ樹に負担をかけないように花が咲くと一定の花を残して花を摘むのです。摘花の作業といいます。摘蕾、摘花、摘花で本来あるべき実の数を制限していくことで大きく立派な桃の実が収穫できる仕組みになっています。
短い命の桃の花を愛でる
ピンクの愛らしい桃の花が満開になるころ、生産者は畑に入り約8割の花を摘花してしまうのです。しかしこの後の作業である摘果作業も人がやる手作業には限界がありますから、一気に終るわけでもないので、摘花するまでは惜しまれながら満開の花を楽しむ事は出来るのです。
どの果物の花よりも目立つピンクの花の満開の花見は残念なことにほんの短い期間だけに限られることになりますが、他のくだものの花と比べると鮮やかな桃色なので満開の畑の周りはもりあがります。白桃はやや薄く、黄桃は濃い目のピンクの花を咲かせます。
美味しい桃をつくるために
桃の栽培には、やはり基本があって着果管理 (樹にどのくらいの数の果実をならせるか)は摘蕾(余分な蕾をとること)と摘花(余分な花をとること)が基本と言われています。桃の場合蕾より花の時採った方が作業しやすいという事情もあるようです。もう、蕾の時から実の数を制限して徹底的に美味しい実を収穫することを目的に作業は組み立てられています。
モモの樹に葉が育ち光合成で作られた養分が利用されるようになるのは、花の満開後30日目以降になってからです。それまでは、前の年の収穫後から冬の休眠期にかけて樹に貯えられた貯蔵養分がエネルギー源になるのです。
桃の花の宿命は美味しい実を
つまり新芽がでて若葉が育つのはこの貯蔵養分に頼っています。無駄な蕾をつけ無駄な花を咲かせることはこの貯蔵養分を浪費することになるので、出来るだけ早く余計な花や実は取除かないと樹が弱ってしまいます。
綺麗なピンクの花が一杯咲いた満開の桃の樹、見た目は美しいのですが、桃の樹にとっては消耗に他ならないのです。桃の樹の負担をできるだけ早く軽くしてやるためにする作業です。大きく美味しい実を着けるために行っています。
貯蔵養分を有効に使い、美味しい実を育てるためにおこなう作業が摘蕾と摘花と摘果です。実をつける果物の宿命に繋がっていることが解ります。生理落果といって途中で落ちてしまう実もあるので一定の余裕のある花や実の量を残しながら段々少なくしていくことになります。
それは、あくまでも美味しい充実した実を収穫して喜んでもらうための仕事です。
▼あまとうの収穫 東根市7月