啓翁桜が冬に満開する仕組み
「啓翁桜」は、1930年に福岡県久留米市山本の良永啓太郎氏が中国系のミザクラを台木にしてヒガンザクラを接いだところ、穂木として使ったヒガンザクラからその枝変わりとして出来たものといわれています。
お正月にも満開の桜が楽しめる、啓翁桜の促成栽培が始まったのは、昭和40年代後半のことです。山形県は全国的にもこの栽培では早くスタートし、啓翁桜の栽培が山形県の気候にマッチしたことから今では日本一の産地になっています。
冬に桜を開花させるメカニズム
1、 桜は、秋になって気温が下がると落葉し休眠に入ります。
2、その後、冬の低温期を一定期間経験すると休眠し、気温が上がれば開花できる状態になって春を待つ状態になります。
3、その枝を雪の中、枝を切り出し温室に入れて加温すると、桜は春が来たものと勘違いし、蕾が動き出し花を咲かせる。
冬の寒さを越した桜に春の温度
真冬の畑では、葉を落とした啓翁桜の枝が開花の時を待っています。太い幹はなく、形の良い枝が何本もまとまって一つの株を作っているのです。啓翁桜の枝は冬を感じとるのに一定の期間寒さ(冬)が必要です。「気温が8度以下の状態に500時間程度置けば、開花させることができます」と生産者の高橋さんが教えてくれます。
切り出した啓翁桜の枝にお湯で処理を施し、温室に入れて開花を促進させます。「春が来た」と桜に勘違いさせるための処理です。その後枝を適当な長さに揃えて、お客様のもとに、蕾の状態でお送りします。そしてお客様のおうちの常温で啓翁桜は咲いてきます。蕾から花がひとつ、ふたつと咲いていく楽しみが啓翁桜の魅力的なところです。
寒さで眠らせ温室で覚醒
山形県が日本一の出荷量を誇る啓翁桜は、冬に花を咲かせる桜です。しなやかな細い枝にたくさんの花が咲きそろう姿がとても華やかで、お正月の飾りや結婚式、卒業式などのハレの日を演出する花として注目を集めています。
また、近年では、フラワーアレンジメントや贈り物としての需要も高まっています。山形の秋の寒冷な気候と長年の研究により培われた確かな技術により促成栽培された啓翁桜は、12月中旬から3月まで、春を彩る鑑賞用の桜の切り枝として全国各地に出荷されます。
また、啓翁桜を切り出す株は山間地に広く植えられています。そこで充分な休眠期間を過ごした啓翁桜の枝は、切り出され温室のある作業場に運ばれてくるのです。よく見ると、枝には花芽がたくさん付いています。その頃には桜は着々と芽を増やしてその枝全体が花芽でおおわれたら切り出し、温室に入れられます。
冬から春を作り出しサクラ咲く
ハウス内の温度は、日中20度、夜10度程度に調節します。1月だと約20日間で、3月なら10日位で花芽がほころんできます。長く休眠している芽ほど開花が早いといわれています。山形県では秋の訪れが早いため、桜はその分早く休眠に入り、早く目覚めさせることができることになります。
また、啓翁桜を開花させる手段としては、温室やムロ、お湯などを用いる方法もあります。花芽の膨らみ方と枝の水上げの状態のバランスが大切です。これによって花の良し悪しが決まって来るのです。これらの啓翁桜の開花までの技術はとても繊細で、気が抜けません。啓翁桜づくりのプロの経験と技が全国トップの産地を支えています。
ボリュームのある薄紅色の花びらと凛とした姿で見るものを魅了する啓翁桜。しんしんと雪が降り積もる「雪国山形」から、ひと足早く、春の訪れを告げる桜の便りをお届けします。
お正月に啓翁桜を咲かせるには
生産者の高橋さんが啓翁桜の栽培を始めたのは、昭和40年代後半からです。「全国ではもちろん、県内でもいちばん早くて、栽培方法もまだ確立されていなかったので、試行錯誤を重ねながら栽培してきました」と感慨深く語ってくれました。
高橋さんが生産するのは啓翁桜はかりではありませんが、全体の啓翁桜そのうちのおよそ5割をお正月にあわせて全国各地に出荷しています。ですから、高橋さんの作業場の12月は一年でいちばん忙しい時期をむかえます。お正月用の啓翁桜の出荷に向けた作業が最盛期を迎えるからです。
お正月に満開の桜を楽しめるように、切り出した枝にお湯で処理を施し、温室に入れて開花を促進させます。「春が来た」と桜に勘違いさせるための処理です。ただ、そのためには、処理を施す前に気温8℃以下の環境で3週間以上を過ごさせる必要があります。その時間が短いと花を咲かせてはくれません。
秋の訪れが早い山形県では、桜も早い時期から休眠状態に入ります。そのため、早くに桜を目覚めさせることができるのです。このように山形県のしかも、雪の深い中山間部は啓翁桜をお正月に開花させるのには最適の場所と言えます
啓翁桜 冬に咲く桜とは まとめ
冬に咲く啓翁桜をお正月に楽しめるようにお届けします。ボリュームのある薄紅色の花びらと凛としたたずまいで魅了する啓翁桜はしんしんと雪が降り積もる「雪国山形」からひと足早く春の訪れを告げる桜の便りをお届けします
お正月にも満開の桜が楽しめる、啓翁桜の促成栽培が始まったのは、昭和40年代後半のことです。山形県は全国的にも早くスタートし、啓翁桜の栽培が山形県の気候にマッチしたことから今では日本一の産地になっています。
啓翁桜は、少し開花した状態でお届け致しますので、開花から満開、そして葉桜まで長い間お楽しみ頂けます。桜の色は、気温が15度から20度以下ですと「ピンク」に、20度以上ですと「白」になります。桜の花の色もお楽しみ下さい。
啓翁桜は、玄関先や床の間など、エアコンやヒーターの温風が当たらない涼しい場所に飾ると、1ヶ月は花を楽しむことができます。玄関先などに飾る場合は、できるだけ温度が低く乾燥しないところに飾って下さい。花瓶の水は、なるべく頻繁に交換して下さい。
気温が高いところに飾る場合は、開花を楽しむ期間が短くなってしまいます。花が咲きながら葉も開いてきますので、殺風景な冬に緑色の葉桜も楽しんでみて下さい。
▼冬に咲く桜を送る 啓翁桜