江戸期に始まる在来種、だだちゃ豆
だだちゃ豆の下地は江戸期にあったとしても現在に残る正式な由来としてはより現在のものに近い形になったのは、具体的に「だだちゃ豆」は明治の後期に誕生したとされる記述もあります。
当時の大泉村白山に帰農した庄内藩の士族、森屋藤十郎の娘初が、隣村の寺田から貰い受けた早生種の茶豆の種を畑に植えたところ、なかに晩生で味の良い豆があったため、その種を大切に保存して自分の畑で増やしていきました。
これが現在のだだちゃ豆のルーツとなった「藤十郎だだちゃ」です。この種を長年にわたり選抜淘汰を繰り返し育てたというのがだだちゃ豆品種改良の由来です。
そして、この一連のいきさつをまとめた物語が旧大泉村、役場跡地にだだちゃ豆の記念碑に由来として刻まれて今日に残っています。
尾浦という品種の個性と特徴
7月下旬に収穫がはじまる早生種、そして8月下旬まで続くだだちゃ豆ですが、一番遅い9月に収穫されるのが尾浦という品種です。他のだだちゃ豆と比べると見た目も、食味も個性の強い異端児といえる品種です。
まず外見ですが、だだちゃ豆の特徴である深いくびれが無いのですが。豆の大きさは他の品種より大きめです。一回り大きな粒になります。
そして、だだちゃ豆の実の出来る前の花ですが、他の7品種はすべて真っ白な花を着けますが、尾浦だけは、紫色の個性ある花を付けるのです。この点も個性的な異質な遺伝子を持つだだちゃ豆といえるところです。
こんなに他のだだちゃ豆とは違う個性の強い尾浦ですが、こちらも正真正銘のだだちゃ豆です。
実が大きめで香り控えめ甘みが強い
そして、尾浦は個性的なのは食味です。だだちゃ豆の中でも9月初旬頃から収穫が始まる最晩生品種の尾浦(おうら)です。他のだだちゃ豆の収穫期間は7月下旬に始まり8月下旬で終わります。尾浦だけは9月に収穫期を迎えます。
香りはやや他のだだちゃ豆より控えめです。他のだだちゃ豆にある焼いたトウモロコシのような香ばしい強い香りは少なめで濃厚な味はありません。それに対して尾浦は濃厚ではないですが深い香りと甘い食味が特徴です。そしてまた、実の大きさは他の品種より大きく、何より甘みがほかのだだちゃ豆より強いのが印象的です。
そしてまた、だだちゃ豆は尾浦以外の7品種が鞘に2個の豆が多いのに比べ、尾浦は鞘に3個の豆の割合も多いのです。その特徴を例えるなら、なんといっても上品で豆の甘さが広がる爽やかな食味が特徴。口の中に広がるだだちゃ豆の旨みをどうぞお楽しみください。
尾浦は、あまり一般には出回りの少ない貴重な品種です。そんなめずらしいだだちゃ豆をぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか。
だだちゃ豆の中のだだちゃ豆 本豆
白山だだちゃを本豆と呼ぶのが地元流です。だだちゃ豆の地元、白山(しらやま)【大泉地区】では晩生白山(ばんせいしらやま)のことをだだちゃ豆の中のだだちゃ豆と称え「本豆(ほんまめ)」とか「白山だだちゃ」とか呼びます。
「だだちゃ豆」の中でも特に晩生種の「白山」は本豆と呼ばれるように「だだちゃ豆」の特徴を良く表現しています。それは「豆のサヤのくびれが深く豆の膨らみが大きい」「表皮は茶色い産毛に覆われている」のが大きな特徴になります。そして、この品種白山は香りも強い品種、焼いたトウモトコシのような濃厚な香りと味が特徴です。
だだちゃ豆は尾浦以外の7品種が鞘に2個の豆が多いのに比べ、尾浦は鞘に3個の豆の割合も多いのです。
本豆と尾浦は対局にある
この濃厚でトウモロコシのような香ばしいあでやかさのある白山(本豆)ですが、この対極にあるのがだだちゃ豆らしくないだだちゃ豆の尾浦の存在になるといえるでしょう。
香りはやや他のだだちゃ豆より控えめです。他のだだちゃ豆にある焼いたトウモロコシのような香ばしい強い香りは少なめで濃厚な味はありません。濃厚ではないですが深い香りと甘い食味が特徴です。
一方、一番人気で「だだちゃ豆」の特徴をしっかり表している「だだちゃ豆らしいだだちゃ豆」と言う「白山」(本豆)と対極にある9月最晩成種「だだちゃ豆らしくないだだちゃ豆の尾浦も併せて食べ比べてみてはいかがでしょうか。
だだちゃ豆には8つの品種がある
収獲の早い順から
1、小真木(こまぎ)
2、早生甘露(かんろ)
3、早生白山(わせしらやま)
4、白山(しらやま):本豆(ほんまめ)
5、晩生甘露(ばんせいかんろ)
6、平田
7、晩生白山
8、尾浦(おうら)
今はこの8品種です。
▼だだちゃ豆の茹で方庄内流