大粒で味濃い晩生種 秘伝豆
全国的にブランド枝豆といえばだだちゃ豆といわれるようになった昨今ですが、近年はもう一つ、山形県で注目を集めている枝豆があります。JAさがえ西村山の枝豆部会等で推進している「秘伝」という品種です。青大豆として評価も高く、きな粉になります。山形県では通常「秘伝豆」と呼んでいます。
通常、9月下旬から10月にかけて収穫される晩生の枝豆で乾燥工程までもっていく青大豆も人気です。本来、枝豆はヘルシーなたんぱく元の大豆のことを指します。
秘伝豆は「甘さ、香り、実の張り、大きさ、味わい」どれも素晴らしいという意味を込めて、「秘伝」と名づけられました。 薄皮をとらずにきれいに「ずんだ」餅に使うヌタ加工できるのも特長のひとつです。
秘伝豆の特徴は濃厚で大粒
秘伝豆は晩生で、気温に敏感で栽培が難しく、生産量も少ないため、生産量も少ないためなかなか手に入らない幻の枝豆ともいわれます。
この豆は、だだちゃ豆と違い、うぶ毛が白く、サヤの豆は三粒が基本で豆の粒の大きさも大粒で重量感があります。枝豆の中では最も大粒の品種に入り、食べ応えがあって味が濃厚で香ばしい。その味はだだちゃ豆と共に最高級品といわれる丹波黒の枝豆に似ているともいわれます。
収穫期は超晩生の9月下旬から10月上旬で、朝に収穫作業します。その後、サヤを落とし、粒選り、洗浄、袋詰と一気に作業し、夕方には発送や出荷をします。
だだちゃ豆より日持ち秘伝豆
だだちゃ豆と違い秋の枝豆であることもあって日持ちもいいため、京浜地区を中心に、仙台、関西、そして贈答用は九州でも取り扱われ、市場評価は上々といいます。極晩生種なので、9月には終了する夏の枝豆の代表格のだだちゃ豆との競合もありません。
また秘伝のおいしさは、成熟した大豆としても人気がある。秘伝は青大豆ととして知られています。粒も大きいことに加え香ばしい濃厚な味があり、家庭でひたし豆にしたり、秘伝豆豆腐、秘伝味噌なども作られ、プレミアム枝豆として年々需要は高まっています。
美味しい秘伝豆の食べ方
さて、枝豆は鮮度がいのち。手に入ったらなるべく早く茹でよう。まず鍋に3倍の水と少量の塩を入れて沸騰させる。この間に豆を洗い桶に入れ、少なめの水でゴシゴシこすってうぶ毛を洗い流し、ザルで水を切ります。
湯が沸騰したら、豆を鍋に入れてフタをして約3~4分。ザルに上げて素早くお湯を切ります。そしてお好みで塩をふり、うちわなどであおいで熱をとってできあがりです。また、茹でたえだまめを潰して餡状にした「ずんだ」は、餅にからめて食べるなど、宮城県と山形県の郷土料理の一つとなっています。
最近はパンにサンドしても美味しいと人気です。なんといっても、山形県のお土産の菓子にはずんだを使ったお菓子も好評のようです。
云わずと知れた「だだちゃ豆」
ところで、「だだちゃ」は庄内地域の方言で「お父さん」の意味。その昔、地元荘内藩の殿様がとてもえだまめ好きで、城下から毎日、取り寄せていました。
その都度に「今日はどこのだだちゃ(父さん)の枝豆か」と訊ねたことから、この名が付いたという説など興味深いお話が存在し諸説あります。
そして、これとは違った見方では、福島県伊達郡から豆を持ち込んで作った「伊達の茶豆」から「だだちゃ豆」に転じたという説や表面が茶色の毛で覆われているため「だだちゃ豆」と言われるようになったという説、いろいろな説があるようです。
だだちゃ豆は東の横綱
丹波黒と並び、日本一美味しいと評価される「だだちゃ豆」は山形県鶴岡市の8月の枝豆。西の横綱が「丹波の黒まめ」なら東の横綱はだだちゃ豆となります。茹で上がるころから香ばしい甘い香りが漂い、食べれば栗のようにホクホクし、口の中にうまみが広がります。
分析の結果、うまみ成分であるアミノ酸の一種で旨味成分「アラニン」が、普通のえだまめより多く含まれていることが知られています。ここにだだちゃ豆の美味しさの秘密があるらしいという。
夏のプレミアム枝豆だだちゃ豆
夏のビールのつまみに欠かせない枝豆。もともとは大豆と同じもので、若いうちに収穫して食べるのが枝豆。山形県のえだまめといえば、すでに全国的に知られている、庄内地域特産の「だだちゃ豆」を抜きにしては語れません。収穫期は7月下旬から8月下旬頃まで、一部9月のだだ尾浦という品種もあります。
庄内地方の特に鶴岡市ではお盆はだだちゃ豆を食べて過ごすのが定番。茹でて塩をふりまいていただくばかりではありません。だだちゃ豆の味噌汁、だだちゃ豆ご飯も鶴岡の夏の風物詩です。時代小説、「蝉しぐれ」などで知られる藤沢周平もだだちゃ豆について折に触れ随筆にも登場し熱く語っています。
だだちゃ豆 見た目悪さ美味しさ
外皮が褐色がかり、表面のうぶ毛が茶色で、くびれも深いため見た目は良くありません。しかし、だだちゃ豆を茹でたとき、茹で上がる頃にはとうもろこしのような強い甘い香りが漂い周囲広がっています。
食べると甘みと旨みがどんどん口の中に広がり、食べ始めたらもうやめられなくなる旨さが特徴といえます。
収穫時期は、7月下旬から早生甘露などの早生種が出回ります。全体の最盛期は何といってもお盆の頃を中心に、7月下旬から9月上旬まで続くことになります。
だだちゃ豆産地の取組とは
鶴岡周辺の土地条件にマッチしており、この種子を他地域に持ち出して生産しても、だだちゃ豆の品種の特性が消されてしまう特徴があります。思い通りにならない難しいな品種であり、鶴岡市の中でも限定された大泉地区のまた生産者も限定してだだちゃ豆栽培と品種の選抜も各生産者が自ら行いレベルアップを図っています。
農家自らが種子を採取し、良質堆肥と有機質肥料を中心とした美味しさと安全性を意識した施肥体系をとってより美味しい豆を追求。また、できるだけ土壌に負担のかからない減農薬栽培方法に努め食味の向上と安全な商品をめざしています。
▼だだちゃ豆ご飯の作り方