柿は栄養成分が豊富な果物
柿は「柿が色づくと医者が青くなる」といわれるほど栄養価の高い果物です。 ビタミンCをはじめ、βカロテンや食物繊維などの健康成分が凝縮されています。 免疫力の向上や美肌効果、腸内環境の改善、二日酔いの予防などに効果があります。
また喉や鼻の健康維持につながり、風邪の予防に役立ちます。 ビタミンAとしての機能のほかに、β-カロテンに備わっているのが強い抗酸化作用。 抗酸化作用には、生活習慣病や老化の原因とされる、活性酸素を抑える働きがあります。
柿を食べることで、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の予防や老化防止が期待できるでしょう。
柿 毎日食べるメリット
1日に食べてよい柿の目安量は、1個から2個程度です。 一度に大量のタンニンを摂取した場合、胃石の原因になるといわれています。 胃石は、胃の内部に石のような固い物質が生じてしまう症状です。 胃潰瘍や腸閉塞を引き起こす要因にもなります
食べすぎは腹痛や腸閉塞、冷えなどの原因になりえるとはいえ、柿を食べること自体にデメリットがあるとはいえません。たとえば、柿には健やかな肌作りには欠かせないビタミンCが豊富に含まれます。
その量は甘柿100gあたり70mg。ビタミンCが多いイメージの「みかん」と比べ、2倍以上の量をほこります。また二日酔いに効果的といわれる「タンニン」や、むくみの改善に役立つ「カリウム」などが摂れることもメリットのひとつです。
柿の栄養成分とは
秋の味覚の1つである柿。カットしてそのまま食べるのはもちろん、サラダやシャーベット、干し柿にしてもおいしく、案外アレンジの幅が広いフルーツです。
そんな柿はビタミンやミネラルがたっぷり!美肌づくりや二日酔いの解消にも効果が期待できるといわれています。そこで今回は、魅力たっぷりな柿の栄養成分を紹介します。
柿はビタミンCが多く含まれるフルーツです。ビタミンCは皮膚のハリや弾力を保つといわれるコラーゲンの生成を促進します。また、シミのもとであるメラニン色素の合成を抑える働きもあるので、美しい肌を作るためには欠かせません。
渋柿と甘柿の違い
柿は品種の違いにより、収穫の時点で渋みが抜けている「甘柿」と、渋みが残ったままの「渋柿」に大きく分けられます。ビタミンCの含有量は、甘柿100gあたり70mg、渋柿100gあたり55mgです。柿1個あたり約200gなのでこの倍の量のビタミンCが含まれることになります。
タンニンが水に溶けている(渋い)か、溶けていない(甘い)かの違いです。 柿の渋みの原因は、どの柿にも含まれる「タンニン」です。 甘柿は成熟によってタンニンが水に溶けなくなっているため渋みを感じませんが、渋柿は成熟してもタンニンが水に溶けているため渋みが残ります。
つまり、渋柿と甘柿を分けるのは、それぞれに含まれるタンニンという成分が、水に溶ける水溶性か、水にとけない不溶性かの違いによるものです。
柿の渋味タンニン
柿には、タンニンというポリフェノールの一種が含まれます。タンニンは柿の渋み成分で、私たちの身体の中でアルコールの分解を促進する働きがあるといわれています。つまり、二日酔いの解消に効果が期待できるというわけです。
タンニンは渋みのもととなる成分ですが、実は渋みのない甘柿にも含まれています。そもそもタンニンの渋みは、タンニンが口の中の水分に溶けたときに感じます。もともと水に溶ける性質のタンニンは、甘柿が成長すると水に溶けにくい性質に変わります。
柿の渋抜きメカニズム
タンニンの水溶性と不溶性の違いだけで、そのため収穫した甘柿ではタンニン自体が無くなることはないものの、ほとんど口で溶けることがないため、舌が渋みを感じないのです。
収穫時点では渋みの残っている渋柿は、おいしく食べるために渋抜きという処理が欠かせません。アルコールや炭酸ガスを使って渋抜きをすることで、タンニンを水に溶けにくい性質に変え、渋みを抜いています。また、渋柿を干し柿にするというのも、渋抜きの方法の1つです。
柿に含まれるカリウム
カリウムとはミネラルの一種。身体の水分バランスを調整し、食事などで摂りすぎた塩分(ナトリウム)を身体の外に排出します。これらの働きにより、むくみや高血圧の改善・予防が期待できます。
柿に含まれるカリウムは、甘柿1個(200g)あたり340mg、渋柿1個(200g)あたり400mg、干し柿1個(37g)あたり248mgです。カリウムは水に溶けやすい性質があるので、水にさらさずに食べることの多い柿はムダなくカリウムを摂るにはうってつけの食材です。
柿のβ-カロテン(ビタミンA)
β-カロテンは、身体の中でビタミンAに変換されて働きます。ビタミンAは皮膚を健やかに保ち、粘膜を強くする栄養素。また、ビタミンAは強い抗酸化作用を持つ栄養素としても広く知られています。
抗酸化作用とは、身体の中で作られすぎると細胞や遺伝子にダメージを与える活性酸素を抑えてくれる作用のこと。日ごろから抗酸化ビタミンであるβ-カロテンを積極的に摂ることで、細胞が傷つくことによる肌の老化を防ぐことが期待できますよ。ビタミンCと同じく、美肌のためには摂っておきたい栄養素の1つです。
甘柿1個(200g)あたり320μg、渋柿1個(200g)あたり200μg、干し柿1個(37g)あたり137μgのβ-カロテンが含まれます。
柿の食物繊維とは
食物繊維は便の材料となるため、便通を整えるためには摂っておきたい栄養素。また、食事からのコレステロールの吸収を抑えたり、食後血糖値の上昇をゆるやかにしたりする働きもあります。
甘柿1個(200g)あたり3.2g、渋柿1個(200g)あたり5.6g、干し柿1個(37g)あたり5.2gの食物繊維が含まれます。特に干し柿は加工の過程で水分が抜ける分、少ない量でもしっかりと食物繊維が摂ることができますよ。
柿のカロリー値
100gあたりで比較すると、甘柿63kcal、渋柿59kcal、干し柿274kcalと、干し柿が群を抜いて高カロリーです。ただしこれは、乾燥させることで柿の水分が失われ、軽くなることが影響しているから。1個あたりの数値に当てはめてみると、干し柿が最も低カロリーとなります。
しかし、何個も手が伸びてしまってはカロリーの過剰摂取になるので注意が必要です。甘柿・渋柿は、今回比べたフルーツの中では中くらいのカロリーであることです。バナナ(100gあたり93kcal)より低く、いちご(100gあたり31kcal)・みかん(100gあたり49kcal)よりは高いカロリーになります。
参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
▼柿は4つ切りにして剥く