色着きは温度格差が影響
今年の佐藤錦の収穫は平年より少し早く、来週くらい(6月中旬)から雨除けハウスのさくらんぼは佐藤錦の収穫が始まりそうです。生産者の方々にお聴きすると実の着色に注目して収穫時期を決めるのだそうです。
サクランボの収穫は色が着いたものから収穫したいところですが、何回か分けて収穫するとストレスで実が軟化することになるので、ある程度全体に色づきが廻ってから、2回くらいでサクランボの収穫を終了できるように1回収穫が終わったら、しばらく実の着色を待つことになります。
そのサクランボの着色を良くするには葉摘みなどの作業のほか一日の温度格差(最高気温と最低気温の差)が大きいと着色がすすみ、逆に温度格差がないと着色するのに時間がかかってしまうということになります。初夏6月でも山形盆地では朝露がしっかり降りるような冷たい朝があるとサクランボの色付きは急にすすみます。
色濃い背中とお腹がある
この温度格差という要素は落葉果実(秋になると落葉する果実)には共通の要素です。温度格差が大きいほどサクランボ、リンゴ、ぶどうなどは特に顕著です。温度格差(最高気温と最低気温の差)が大きいほど果実の着色はすすみ、果実の肥大も進みます。そして糖度をはじめとする食味も濃厚になるという原理になります。
サクランボの場合は背中(オモテ)とお腹(ウラ)があり、着色は、陽が当たる盛り上った背中から色づきがすすみ、お腹は白っぽいままで少しずつ色づいてきますが、最後まで背中の方が色濃いのが普通です。ですから果肉の盛り上った背中はツヤもあり、色濃く、果肉が盛り上り見た目が良いので、サクランボの鏡詰めをするときは、この性質を利用します。
サクランボの鏡詰めは粒の大きさを揃え、盛り上った艶のある真っ赤な背中の面を上にして並べていきますから箱のふたを開けると感動的で輝きのあるサクランボ特有のルビーのような真っ赤なサクランボに驚くことになるのです。
サクランボは表と裏お腹と背中
今年の山形さくらんぼの収穫期は何時頃からなのか園地で生産者にお聞きしました。園地を眺めるとかなり色付いたように見えるが、サクランボには表と裏があって裏側はまだ黄色い状態のだから、佐藤錦でこれから1週間後に多分収穫の始まるのではとさくらんぼ生産者の小座間さんは教えてくれました。
サクランボの表を背中と云い、裏側をお腹と云います。もちろん背中は色着きが良くお腹は色着きが白くなります。そしてお腹には1本の筋が入ります。また軸と反対側のさくらんぼの実のいちばん先には小さな穴があいてそこはオヘソになります。
具体的にいうとオヘソはサクランボの花(めしべ)の痕跡、背中は陽の当たるほうで盛り上がっています。お腹は陽の当らない方で、だから着色が悪く比較的白っぽくなります。
サクランボを魅せる鏡詰め
さくらんぼの箱詰めの仕方に鏡詰めや手詰めと呼ばれる詰め方がありますが、全部、サクランボの盛り上っている背中を表側ににしますから、赤色が濃く盛り上って、輝きがあり鮮やかな見栄えがしてとてもきれいなのです。
さくらんぼの実を良く視て食べることがないのでよくわからないかもしれませんが、今度食べるときはさくらんぼの軸、お腹、背中、実の頂上を良く視てほしいと思います。
小座間さんはこの時期のサクランボに見ついて「さくらんぼは着色しながら粒が肥大するので、これから1週間が勝負のときで朝露が降りるような温度格差と晴上った日照の強さが着色と肥大をすすめてくれる」とサクランボの生育について詳しく話してくれました。
サクランボ実の形状と色 まとめ
梅雨の曇りがちのお天気が続くと温度格差も、日照も不足するので収穫は遅れることになるとのこと。全体的にさくらんぼの着色はまだまだうすいやはりさくらんぼ、佐藤錦も収穫はお天気次第というのが本当のところといえます。
そのサクランボの着色が良くなるには葉摘みなどの作業のほか一日の温室格差(最高気温と最低気温の差)が大きいと着色がすすみ、逆に温度格差がないと着色するのに時間がかかってしまうということになります。
初夏6月でも山形盆地では朝露がしっかり降りるような放射冷却が起きる晴天の冷たい朝があるとサクランボの色付きは急速にすすみます。
サクランボの鏡詰めは粒の大きさを揃え、盛り上った艶のある真っ赤な背中の面を上にして並べていきますから箱のふたを開けると感動的で輝きのあるサクランボ特有のルビーのような真っ赤なサクランボに驚くことになるのです。
▼さくらんぼ収穫から箱詰めの様子