さくらんぼの実の着き方と作柄の関係|味の農園
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くだもの歳時記

さくらんぼの着果と作柄

さくらんぼ 着果 佐藤錦

さくらんぼ の作柄予想


4月下旬頃に満開になって、お天気に恵まれ蜜蜂、マメコバチに授粉を助けてもらい出来た実が育ってきています。ほぼ満開から20日が経つのでサクランボの生理落果は終わったのでそろそろ摘果作業に入らないといけない時期になりました。


生産者の小座間さんに伺うと、今年は実が付き過ぎの傾向で、多過ぎると実が大きくならないので適当な数に制限しないと品質が低下するので摘果という間引き作業をしているということです。園地を見渡すと紅秀峰の実がしっかり大きくなりはじめています。主力の佐藤錦はまだ少し小さい状態で、紅秀峰よりは実の付きが少ないようです。


どちらにしてもサクランボの品質を良くするには成り過ぎ、過剰な着果は禁物でこれから毎日さくらんぼの実の間引作業が欠かせません。受粉がうまく行っても実の数が多過ぎると間引き作業が大事な品質を確保するために必要な条件になってきます。


ひとくちに「サクランボの豊作」といっても人の作業によってはじめて豊作が確保されます。それでは何故豊作不作、着果(実と付き具合)に善し悪しが生まれるのでしょうか。

 

さくらんぼ 佐藤錦 紅秀峰

佐藤錦は生育が紅秀峰より遅くまだ小さい


 

着果が悪くなる理由とは


■さくらんぼ生産者、小座間さんに訊きました


授粉樹が少ないか相性が良くない場合専門的でわかりずらい説明になりますが、サクランボには、強い自家不結実性、(同じ品種同士では結実出来ない性質)と特定の品種間では受精できない他家不結実性という性質があるといいます。


そのためサクランボ1品種一本ではほとんど実が着かないので受精の相性の良い品種を選び、少なくとも2品種以上植えなければなりません。ただし、片方の品種にもう一方の品種をその枝に接木すれば、2本植える必要はなく1本ですみます。これは品種同士の相性を試すにはうってつけでしょう。


品種を選択する場合、まず相性の良し悪しを知っておくことが必要ですが、次に示すグループ内では受精しにくいので、異なるグループ間で開花期のあうものを選ぶことが大切です。たとえば佐藤錦にはナポレオン、高砂、ジャボレーなどを選ぶと良いと相性は良くなります。ただし、これは「おみくじ」のように当たっているようで、確信が持てない相対性を含んでいます


その年のお天気、サクランボの畑の場所、自分の畑の周りの条件など、なかなか難問です。これは基本的な組み合わせに過ぎませんが、最低でも20%は佐藤錦以外の品種がその園地には必要と云うのが一般的です。


他品種を植えても、訪花するマメコバチ、蜜蜂などの昆虫が少なかったり、開花期の低温で受粉不良になることもありますので、人工授粉によって実着きを確実にすることが求められるのです。特に開花前の遅霜は着果には大きな障害になります。

 

佐藤錦 さくらんぼ 山形サクランボ

さくらんぼの着果の数は多い方が豊作につながる


 

着果するが落ちる実が多い


サクランボは、開花してから果実が肥大成熟するまでの期間が他の果樹に比べて短じかい果物です。そのため果実の発育は前年の貯蔵養分に多くを頼っています。つまり、前年からの貯蔵養分が少ないと発育不良で落果が多くなり、着果しているものも肥大が進まず食味にも影響してきます。収穫後のお礼肥えを適切に与え、日当たりを良くすることが大切です。


また、秋にきれいに紅葉するように貯蔵養分を十分に蓄積させる、早めの摘蕾・摘果で肥大を高めるとともに養分の無駄使いを防いで翌年の花芽形成を充実させることも重要です。


土壌の乾きすぎや過湿で樹が弱っている場合などがあります。サクランボの根は夏の高温期の乾燥や梅雨時の過湿に弱いです。これは灌水設備が整っていることが大切ですが、とても大切な条件になります。特に鉢植え栽培などでは水やりの不足や与えすぎなどに注意が必要です。


剪定が不十分な場合などもあります。基本的に選定はサクランボの樹の構造を決めることなので、サクランボの未来を決める大事なことです。来年、その後の事まで決める大事な基本的な大仕事として取り組むことになります。ですから剪定には基本的な学習と長い経験年数とが求められます。


樹の幹に光が射すことが基本の剪定の姿勢となります。養分の蓄積を図るうえでも、落果を防ぎ果実の発育を促すうえでも大切なことです。

 

山形さくらんぼ さくらんぼ佐藤錦 さくらんぼ通販

生育を見つめるベテランの生産者の小座間さん


さくらんぼの着果と作柄 まとめ 


サクランボが豊作になる第1歩は満開時にしっかり授粉出来る環境を整えてたくさん着果させることからはじまります。たくさん着果させることは基本として大事です。たくさん着果してさえいれば、その後の摘果や葉摘み作業などで豊作を実現できる可能性が高まります。このように考えると着果はサクランボが豊作になるための入口といえるのです。


多くの生産者は収穫が終ると次の年の収穫のスタートを切ります。終わりがはじまりとはこの事です。収穫が終ると次年のサクランボ美味しい大粒のサクランボをイメージして地道な管理作業を淡々とこなしていくのです。


着果数の確保は安定した収穫には不可欠の要素です。近年温暖化が進む中で、開花期が段々早くなる傾向にあり、遅霜の害がおおくみられるようになっています。今まで開花は4月下旬から5月上旬の大型連休ころでした。しかし、最近はそれより7日から10日早くなり、開花期が早まるほどに遅霜の害に合いやすくなっているのが現状です


 

▼さくらんぼの着果 満開後20日


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