さくらんぼの生育は順調
山形県の今年の桜(ソメイヨシノ)は毎年県内でいちばん開花の早い山形市の霞城公園のソメイヨシノがほぼ満開になっているほか県内各地の桜は今週末4月20日くらいに満開と思われます。さて気になるのはサクランボの開花ですが、ソメイヨシノより約1週間から10日遅れで開花するのが平年のサクランボです。ですから佐藤錦で4月下旬頃と見られています。
今年は暖冬だったこともあり平年より8日位早いという生育状況とのことです。あんまり開花が早いと、この時期のサクランボの蕾のときは霜に弱く、強い霜にあたると花が枯れて実になりません。
この遅霜がこの時期の生産者にとって最大の懸念です。この時期に霜に当たると花芽、雌しべが枯死してしまい、実が着かなくならからです。
佐藤錦 4月は遅霜の対策
何といっても開花前のさくらんぼの雌しべは霜に弱い。遅霜の対策がいちばん心配の種になるところです。生産者は4月上旬から中旬の間、蕾が膨らんでくる開花前まで霜を防ぐためにいろんな努力をしています。特に晴上った日の放射冷却の日は霜注意報が出ると生産者の心配は大きくなります。
以前だと遅霜の情報が入ると、明け方に古タイヤを燃やしたり、焚火をして煙を出して霜が降りないように対策をしていました。今は環境の問題でそれが出来ませんから出来ることが限られています。サクランボの芽に特殊なコーティングして防ぐこと、もうひとつは防霜ファン(畑に設備)畑に設備して畑に風を送って霜から守るのです。
又は、散水設備を使って水を播いてサクランボの花芽を霜から守るものです。また大きな扇風機を畑に持ってきて風を送るのも試されたりしていますが、決定的な効果は今のところ見出されていません。
蜜蜂やマメコバチの活躍
満開までお天気に恵まれて、蜂や昆虫が飛び回る穏やかなお天気を期待しています。天気がいいと放射冷却で霜が心配になり、天気が悪いと気温が上がらずミツバチたちが活発に働けなくなる。ひとつのジレンマがあるのです。
ミツバチや地蜂といわれるマメコバチなどがぶんぶん飛び回る頃に満開になると受粉もうまくいくことで豊作が期待できるからです。そして完熟した佐藤錦、紅てまり、紅秀峰などが美味しく食べられるのは6月中旬から7月上旬にかけてです。
▼さくらんぼ満開は4月中旬、下旬に
天童市川原子の果樹園のサクランボの満開の景色を撮影しました。例年の満開よりやや早い満開を迎え、ミツバチ、マメコバチを中心に昆虫たちが活発に飛び回る春のお天気です。ここの標高は180m程、標高の低い所から高い所へと次々に満開が移動してサクランボの開花受精は再生をむかえています。
さくらんぼの 満開風景 まとめ
サクランボの満開まで30日を切って満開の直前までは霜の対策をしています。通常のサクランボの生育では4月の上旬~中旬までは遅霜に弱い時期です。毎日の天気予報、警報注意報に気を配ります。霜警報が出たら夜から煙を出すためにタイヤや霜防止設備の運転準備をするなど最善を尽くします。
このように、遅霜は全面的に被害をこうむることは少なく局地的な場合が多いのですが、時には大きな被害もあるので生産者は最善を尽くして防止対策を施しています。霜の害を乗り越えるとようやくサクランボの満開を迎えます。この時期のいちばん大きなテーマは何といっても「さくらんぼの受粉」になります。サクランボの樹が受粉しやすい栄養状態になるよう管理します。
そして、佐藤錦の満開になるまでにミツバチ、マメコバチの巣箱の準備をしてミツバチたちが活発の働くことができる環境を確認します。満開まで土が乾き過ぎないことも大事で適度な湿度が保たれるよう灌水も大事な対策なのですね。地上に灌水することで乾燥から雌しべを守り授粉効率を高めます。