ラフランスは緑系と金系が
ラフランスといえば緑色の洋梨で豊かな香りと滑らかな食感、果汁たっぷりで「洋梨の女王」と呼ばれるにふさわしい山形の特産品といえます。
実は、ラ・フランスの色には緑系と茶色系の2種類あります。通常流通されているものが緑系のラフランスです。茶色のものは通称「金系ラフランス」ゴールドラフランスと呼ばれ、昭和30年代に山形県園芸試験場 で枝変わり(突然変異)として発見されたものといわれています。
今では、緑系ラフランスが主流になって、茶色系はほとんど見当たりませんが、希少な品種ゴールドラフランスとして水面下の世界で細々と活躍しています。
バートレットの交配用の役目
この当時ラフランスは缶詰用のバートレットの交配樹として使われていただけで殆ど出荷はされていませんでした。この頃、西洋梨の需要はほとんどが缶詰加工ようで、一部のバートレットいう品種が生食用に出荷が始まった頃でもありました。
もともとバートレットは明治期にアメリカから輸入されたもの。戦前の軍需用の缶詰需要の時代から昭和30年代は缶詰用の洋なし、バートレットが全盛期、生食用の洋なしもバートレットでした。
ゴールドラフランス茶色が
一方、ゴールドラフランスは香りや味がなかなか良いということで、この茶色の品種を栽培する研究が行われました。しかし、見た目が茶色でザラザラの表皮だったことあり、おいしそうに見えず、玉も大きくならない、そして栽培が難しいということもあり、ごく一部の生産者が栽培しただけで大きく普及することはありませんでした。
品種的に魅力的な品種でありながら 時代的背景として緑系のラフランス同様に食味で勝負できる生食用の需要がなかったことが大きな世に広まる障害となりました。
その後、時代と共にくだもの缶詰のニーズが急激に減少し始めました。缶詰用洋ナシの生産量減少とともに交配樹だった緑系ラフランスも切り倒されてしまい、茶色のラフランスは一緒に殆どその姿を消してしまいました。
緑系ラフランスが生食で注目
グルメという言葉が世に出始めた昭和60年代頃から缶詰用バートレットから「生食用」としてラフランスが注目されて栽培面積が増大しました。
ラフランスは長年の下積みから這い上がることになりました。要因としては高度成長期という時代背景、インフラ、物流の整備が徐々に良くなっていくにつれ、缶詰ニーズから新鮮な食品への移行があります。
これは全て緑色のラフランスで茶色のラフランスは当時から残った樹しかありません。おそらく山形県外で栽培されているところは殆ど無いといえます。
この時期になって、ラフランスはようやく名前が知られ始めました。品種の特性として本来の食味の良さがようやく評価が知れ渡ります。生食用の美味しい洋梨として認知されてきたのです。
▼ラフランスの収穫の様子。美味しい山形の秋風景
生産量が少ない金系ラフランス
1903年に日本にラフランスが輸入されてから約100年、缶詰用バートレットの交配用として細々と生きながらえようやく注目してもらえる機会を得ることになりました。
ほそぼそ生きながらえた緑系のラフランス以上にもっと細い生存の環境のなかで、金系ラフランス、(ゴールドラフランス)は奇跡的に生き残ることが出来ました。
というわけで、主流は緑のラ・フランスなのですが、食味という点では小柄でも茶色の「ゴールドラフランス」が香り味、共に評価は上です。しかし絶対量が少なく、なかなか数を揃える事は出来ません。もし幸運にも茶色のゴールドラフランスを入手したら十分にその味を堪能して下さい。
もう一点、メジャーになれない欠点として、栽培、生産の問題は緑系より豊産性が弱いという大きな課題点があり、栽培しづらいという問題も生産者に知られています。やはり収穫量が劣ると生産者には大きなハンディ―となります。
幻のゴールドラフランス まとめ
ゴールドラフランスはラフランスの枝替わりとして生まれた品種とされ、かつては全体に茶色っぽくサビが発生するため「サビ果」などとも呼ばれ市場には出せないB級品、またはそれ以下として扱われてきました。しかし、その味はというと追熟させると緑系のラフランスよりも舌触りや味わいがよく美味しいと生産者の間では長く知られていました。
近年のグルメブームによりこの美味しさが発掘され、現在では「サビ果」ではなく「金系ラフランス」と呼ばれるようになり、「ゴールドラフランス」として市場に登場するようになったのです。
この「金系ラフランス」はそもそも敬遠されてきただけにその木の数も少なく、生産量が少ないということもあり、希少性からもまさにゴールドとして高級ラフランスとして扱われています。
ある意味、一部の方々の静かな人気ですが、口コミでの話題が広がっていくことで、今後人気が高まりそうな予感がします。