山形の気候が山梨と似ている
何故、勝沼がぶどうの産地になったのかといういうと、気候が適しているのは、雨の降り方が少ないことと朝晩の温度格差が大きい事が要因と考えられます。これは高い山々の囲まれた盆地であることが関連しています。そして土壌によるものが大きいのではないでしょうか。
山梨のぶどう産地は扇状地が多く砂地で水捌けが良く、標高が高い山々に囲まれた盆地のため昼夜の温度格差が大きく、日照時間が多く、傾斜地であることが葡萄という作物に適したと言う事のようです。
また、山梨は昔養蚕が殆どで余り恵まれた土地ではなくお米は、水の問題が有りました。狭い傾斜地で葡萄や桃は高収入が得られる事から地域全体で育成した経緯が有ります。このような環境の一部始終が山形の産地と山梨は類似。盆地という降雨が少ない天候、土壌と山間部という環境まで山形のブドウ産地は非常に似ているのです。
山形ぶどう明治期に始り産地に
山形では明治になって欧州種や米国種の葡萄、デラウェアなどが入ると、いよいよ産地として盛んになります。大正初期には、おコメより高い値が付き、ぶどう景気に沸いたといわれています。
山梨県と山形県は土壌、地形、関連した気象条件までぶどうの栽培に適した地の利を得ていたと想像できます。現在、1位は山梨県、山形県はぶどう生産量で全国3位を誇っています。
全国で1位のデラウェアのほか大粒品種では巨峰、ピオーネ、シャインマスカット、ゴルビー、瀬戸ジャイアンツ、高雄、安芸クイーン、藤稔、ロザリオビアンコ、オリンピア、翠峰、伊豆錦、ロザリオロッソなどなど。
栽培品種も多く、ぶどう栽培の古い歴史が感じられる。特に最近は高級品種としてのシャインマスカットの栽培がふえているようです。
昼夜の温度格差が品質の命に
日射量が多く昼夜の寒暖の差が大きいから美味しさが際立つという視点があります。ふつう果樹は光合成により、糖類を作ると同時に、この糖類は、生理的活動である呼吸作用で消費されてしまうことになっています。
そこで極論すると、甘くするためには夜の呼吸が少なければ少ないほどいいわけで、その条件は夜間の気温が大きく影響します。産地の山形県の内陸では夏でも夜は涼しく温度格差が10℃以上もあります。その結果、植物の呼吸が抑制されることになり、果実の糖度が上がるしくみなのです。
特に赤系、黒系のぶどうは温度格差に敏感で気温の較差が生まれないと着色が不良になってしまい着色障害が起きます。この点だけをいうと最低気温が高くなる地球温暖化はぶどうにとって心配の種になりつつあります。
収穫量1位と温度格差の関り
ぶどうは全国で広く生産されています。日本全体の収穫量は年間17万6,100トン(2017年)で、都道府県別の収穫量では1位が山梨県。そして、2位長野県、3位山形県、岡山県と続き、この4県で約6割を占めます。生産量日本一の山梨県では甲府盆地を中心とした内陸型の温度格差が大きい、水はけのよい地域での生産が盛んです。
年間の日照時間が長く、降水量が少ないという内陸性気候と内陸型の盆地気候の温度格差が大きい地域がぶどう作りに適しているのです。
このような結果、ぶどうやくだものは同じような栽培特性から雨の量が少ない盆地という地形であって、夏は猛暑で夜は涼しいという共通の地の利を得ていることに気づきます。そしてまた、山形の山に囲まれた地形は、梅雨期も雨量が全国的に少ない果物の生育に好適な条件の一つです。
ぶどうの品質は温度格差 まとめ
周りを高い山に囲まれた雨の少ない盆地。温度格差の大きい内陸型の気候。これは美味しいくだものを生産するための条件なのかもしれません。ぶどうは排水の良い土地を好む。日照が十分あり、昼夜の寒暖の差が大きく、成熟期に雨が少ないなどの条件も、県内のぶどう産地は満たしており、山梨の勝沼地方ともよく似ているといいます。
その特徴ある地形からの特有の8~9月に吹く夜風の冷たさが、大切な品質に大きくかかわっているのです。そして、その冷たい夜風がぶどうの着色、成熟度と甘みを引き出しているというのも良く似ている点なのです。
近年の温暖化の進行はぶどう栽培にも変化を生んでいます。巨砲、ピオーネなどの黒系ぶどうやオリンピア、ゴルビーなどの赤系ぶどうの着色障害頻発するようになったのです。各産地の夜温が低下しなくなって温度格差が十分とれないのが原因とされています。
夜温が高いとぶどうの呼吸が低下せず消耗して十分なエネルギーの蓄積ができないというメカニズムによるものです。昼に高温でも夜から朝に気温が低下しないと光合成によるエネルギーの移行に障害が起きることによるものです。
▼山形のブドウ栽培 シャインマスカットなどの品種