スイカの生産者はスイカ敲き
山形県北部の尾花沢市にある斉藤徳司さんのスイカ畑を取材させてもらいました。西瓜の蔓が延びて、畑いっぱいに広がっています。80アールの適度な傾斜のある黒い土の畑です。「自分自身でスイカを沢山食べてきて化学肥料で作った西瓜のあと味がいやで、全面的に有機肥料を使っています」とこだわりを伝えてくれました。
自身、長年の西瓜作りと、糖度センサーがない時代に選果の検査員を長年携わって西瓜を手で、スイカを敲いた音で品質を見極める「西瓜敲き名人」といわれた人です。品質の違いをいやというほど視てきたといいます。だから今でも「西瓜タタキ」で品質は、センサーを使うよりずっとよく解ると自信に満ちたお話しでした。
長年蓄積した、経験の重みを感じます。品種もこだわってJAでは取り扱っていない「縞無双(しまむそう)」という品種だそうです。
尾花沢スイカの達人に訊く
▼ 西瓜栽培で大変なこと は何ですか?
◆◆ 斉藤さんの答え◆◆
▼歳をとると全部が大変。特にスイカが重くて大変。スイカは運搬車を使って運び出します。最盛期には運搬車の荷台いっぱいにスイカを積んで運びます。
▼ 栽培してきて一番嬉しいことは何 ?
◆◆ 斉藤さんの答え◆◆
▼「斉藤さんのスイカはやっぱり違うね!」等、美味しいと言われる事が一番嬉しい。
▼自分のスイカつくりで自信があるところは何ですか ?
◆◆ 斉藤さんの答え◆◆
▼「うちのは他のスイカと比べると口に残る余韻が違う」「スイカは、食べている時はほとんど味に変わりは無い。食べた後の余韻で差が出る」
他のスイカに比べて、斉藤さんのスイカは口に残る余韻が違います。 白い部分に近づいても青臭さ・酸っぱさが感じられません。
尾花沢スイカ生産者の想い
尾花沢のスイカは糖度11度以上で出荷できます。斉藤さんのスイカは糖度計で計ると11度ですが、食べてみるとそれ以上に甘く感じられます。11度以上糖度があるのではないかと、もう一度計ってみるとやっぱり11度。これは中央部分だけ甘いのでは無く、皮の方まで全体が甘いスイカだという事です。
斉藤さんのお知り合いがスイカ畑に訪れた時にスイカをもてなした所、「俺ぁスイカ食った後は水飲まねどダメなんだー。水くんねが~」と言われましたが斉藤さんは「水なんかねぇ~。我慢すてろ~」と言い、知人は水を飲めずに帰って行きました。 そしてしばらくすると、先ほどの知人から「斉藤さーん!俺斉藤さんのスイカだったら水飲まねくても平気だったー!」とわざわざ電話がかかってきたそうです。
斎藤さんは完全有機栽培にこだわっています。斉藤さんがスイカ作りを始めたばかりの頃…。スイカの苗に病気や虫がついて大変な苦労をしました。そこで完全有機栽培をスタートさせ、すると、つるを丈夫にする為に始めたのが、スイカの味がどんどん良くなっていったそうです。そして消毒の使用は他の農家の半分以下。安心・安全なスイカ栽培をしています。
スイカ生産者の栽培のこだわり
他の農家が3000本の苗を栽培している一方、斉藤さんは1200本の苗しか栽培していません。斉藤さんは「歳とって大変だからだ」とは言いますが、本当は手間隙かけて、丁寧に栽培しているからではないでしょうか。
有機肥料は高額で、お金がかかります。「そんな高けぇのよく使うなー」と言われますが、斉藤さんは完全有機栽培にこだわります。そして化学肥料は使用しません。有機肥料:海の藻を乾燥させたもの(1袋9,000円)骨粉を灰にしたもの?(1袋6,000円)等々8~9種類使用。
斉藤さんが奥様と北海道に旅行に行ったときの事…。 スイカが売ってあり、試食を勧められたので食べてみたところ、マズかったので、素直に「んまぐねぇ」(マズイ)と言ってしまい、お店の人に怒られた、という事があったそう。
▼スイカの美味しい切り方 簡単編