通販30年の経験と教訓から
クール便での事故の原因のひとつに、冷蔵庫の冷気の強すぎることによる「冷気ヤケ」という現象があります。集配の小型の車ではならないのですが、各地のセンター間に走らせている大型の冷蔵車に積まれてから発生するようです。
冷気の吹き出し口に近いところや直接冷気がかかるところにおかれると、サクランボは凍結してしまうことがあるのです。凍結してしまったものがまた別の便に乗り換えられるととけて黒ずんだ茶色のサクランボになってお客さまに届いてしまうのです。
他のくだものでは考えられないことがサクランボでは起きてしまうことを知るまでは時間がかかりました。サクランボは生鮮食品の中でも一番デリケートな果物です。温度が高くても、低くても、いずれにも敏感で温度変化に弱い性質を備えているのです。
さくらんぼの取扱いの特殊性
私たちもこの事実が判明するまでは不思議でしょうがなかったのですが本当に信じられなかったのが本音といえます。ヤマト運輸さんとの長いお付き合いの中で、互いにこのような事故は、起こりえる事、お互いに歩み寄って問題解決にのぞむ事も今では出来ています。
このように互いに前向きに話し合われるようになっていますが、長い時間この問題については、見解の相違ということで、理解が深まるには時間がかかりました。
そして、「クール便にすれば大丈夫!」は絶対ではないこと。事実はそのまま認めるしかありません。運送屋さんとの日ごろからのコミュニケーションと信頼関係は大事だと感じています。
▲さくらんぼの出荷時期は6月~7月
クール便サクランボ野菜室に
何といっても配送の基本の考え方として、常温が基本で、高温などの環境変化があってクール便をあるタイミングから使う。遠距離で翌日着かない所はクール便で対応します。
常温便は常温で保管し食べる前に冷蔵庫で冷やしく食べる。クール便で届いたら直ぐに冷蔵庫の野菜室に入れるのが大切なことです。
発泡スチロールのところでお話した原理はクール便でも同じです。「サクランボは温度変化に弱い」ことです。クール便で届いたサクランボを玄関に、またはマンションの管理人の部屋に2時間ぐらい放置されたらもちろん痛みやすくなります。
温度変化で湿気を集めて結露してしまうと一気に変色などの傷みが生じる事になります。 常温便で届いたものは、室温でも構いませんが、クール便で届いたサクランボはすぐに冷蔵庫に入れて下さい。
常温便クール便 選択は現場に
私たちは長年の経験から、クール便のリスクも知っていますから、できるだけクール便を使わないようにしています。シーズン当初はお客様のご希望がない場合は常温便でお送りするようにお勧めしています。
発送の条件によって判断は変わります。2日かかる場所への配送。発送日の産地の気温。到着時の到着地の気象条件。などなど、基本的には発送から到着までの温度変化をできるだけ少なくできるかが重要になってきます。
後半は、気温が30℃を超えてくるとクール便に切り替える決定を下します。一番いいのは現場の判断にお任せいただくことだと思っています。こちら山形の天気と全国の天気予報を入念に調べながら、いつからクール便にするのか決めています。
どうぞこのルールをご理解いただきたいと思います。最優先に考えているのは、より美味しい状態でサクランボが皆様の元に届いて、出来るだけお早めに召上ってほしいということが願いなのです。
サクランボは温度変化に弱い
「クール焼け」のところでもお話ししましたが、「サクランボは低温の方が良い」ではなく、温度変化を出さないということが鮮度維持に大きくかかわっている事実です。
何度も申し上げますがサクランボは「温度変化に弱い」です。理想的には生産した場所の温度で輸送してお召上りいただくことが一番の方法になりますが、そして冷蔵庫ではなく冷暗所、風通しのいい場所。冷蔵庫に入れるならば、冷蔵庫から出したらすぐ召し上がる事をお勧めします。
サクランボのもう一つの特徴は「湿気に弱い」です。ですから、冷蔵庫に入れるリスクは冷やして「温度変化に弱い」状況になり、冷蔵庫から出して「湿気に弱い」ことで結露して傷むことになります。それよりは鮮度を重視してお早めに召し上がっていただくことです。
▲さくらんぼの取り扱い方とは
試験30日経過でも美味しい
私たちは品質調査のため試験的に行いますが、温度と湿度を調節できる冷蔵庫に入れて日保ち試験をすると、1週間から1ヶ月まで保存が出来ます。もちろん家庭用の冷蔵庫で頻繁に扉が開閉される状態では無理があります。業務用の冷蔵庫で温度変化を出さない工夫をして実験しました。
味も傷みも採りたてとは違いますが問題なく美味しく食べる事が出来ます。「温度と湿度を低くして変化を出さない」ことを維持できると格段に日保ちは格段に長くなります。
特に産地の採れたてをすぐに冷蔵庫に入れ温度管理をしっかりすると驚くほど長持ちするのです。極端にいえば1カ月とか日持ちする場合もあります。
そのサクランボの品質が大きく影響していることは間違いありませんが、特に晩生種をやや早もぎして、業務用の冷蔵庫に入れると1カ月保存できるのです。7月15日もぎ取るとしてお盆まで日持ちしているのです。嘘みたいなお話しに聞こえますが試験するとこの事実が確認できるです。
もちろん少しずつ鮮度は下がっていく事には変わりませんが。美味しさも外観もしっかりしています。
生産地の情報をもっと皆様に
「もっと赤くなるかと思って冷蔵庫に1週間、入れていました!」こんなお客様もいて、驚きました。そうだ、「私たちは当たり前でも、お客様にはその情報がないんだ」ということがはじめてわかりました。サクランボは追熟しても色が赤くなる事はないのです。
私たち販売する方がしっかりとご案内して、正しい情報をお伝えしていく事がサクランボの場合は大切だと実感しました。
私たちは、ある意味においてお互いに知らない事ばかりです。私たちは30年以上サクランボの通販に関わってきました。生産に関わる問題、パッケージに関わる問題、輸送に関わる問題、いずれも問題意識を持って改善に努めてきました。
今後もどんな小さなことでも地道に改善を続けていくことが大切な目標へ近づく道だと思っています。そのためにもお客様が気づいたこと、私たちが気づかずにいることを是非お知らせいただきたいものと思います。
それが今後の私たち取り組みの向上心の原動力になります。私たちの目標と問題意識は30年間まだ変わっていません。「お客様に山形の生産者がつくった美味しいサクランボを収穫したそのままの美味しさを届けたい」ということなのです。
佐藤錦誕生と宅急便の出逢が
生食で美味しい「佐藤錦」という品種の誕生。この後、佐藤錦は少しずつ出荷量を伸ばし、1970年代頃から缶詰用の加工用サクランボから生食用の需要が高まって一気に全国区に躍り出ることになるのです。
今まで缶詰加工一辺倒だったサクランボのニーズが変化を見せはじめます。そこには生食で魅力を発揮する新品種「佐藤錦」の登場と「鮮度がいのち」である生鮮食料品を全国にスピーディーに配達するヤマト運輸の「宅急便」(昭和51年誕生)の出会いも見逃す事はできません。
宅急便の誕生でさくらんぼの生食用の「佐藤錦」としての価値が一気に全国規模に広がっていくのです。そして1980年代の「グルメブーム」が追い風を強めていきます。
このようにして「佐藤錦」という品種によって山形産サクランボは「さくらんぼ王国やまがた」に上りつめていくことになるです。
佐藤錦 配送時の扱い まとめ
クール便での事故の原因のひとつに、冷蔵庫の冷気の強すぎることによる「冷気ヤケ」という現象がたまたま起こることがあり何故傷んだのか解明できないことが多くおきるという事実。各地のセンター間に走らせている大型車の冷蔵車の冷気の吹き出し口に積まれて直接冷気が梱包に強く吹き付けたときに発生する可能性があるようです。
佐藤錦の通販で届いた場合は、常温便は常温で保管し食べる前に冷蔵庫で冷やしく食べる。クール便で届いたら直ぐに冷蔵庫の野菜室に入れるのが大切なことです。何故かというと
何度も申し上げますがサクランボは「温度変化に弱い」です。
理想的には生産した場所の温度で輸送してお召上りいただくことが一番の方法になりますが、そして冷蔵庫ではなく冷暗所、風通しのいい場所。冷蔵庫に入れるならば、冷蔵庫から出したらすぐ召し上がる事をお勧めします。
さくらんぼ佐藤錦の配送は基本は常温ですが、お届け先、運送にかかる時間や色んな条件によってクールの方がいい場合、常温の方がいい場合があるのです。