ラフランスは美味しい食べ頃を見極めるための処理として10日間冷蔵庫で低温処理します。それを予冷といいます。「予冷」とは低温冷蔵庫に入れ果実の呼吸を極端に抑制することをいいます。そして予冷したラフランス常温に戻すと一斉に呼吸を再開してデンプンを糖分に変え始めます。「予冷」から常温に出して「追熟」の期間を約10間経て「完熟」の食べ頃になるという仕組み。
ラフランス予冷の順序と方法
①▼ ラフランスの予令は追熟に先立って一定期間に果実を2-3℃の低温処理する予冷は追熟期間を短くし熟成の揃いをよくします。
②▼予冷は冷蔵庫の中で温度 2~ 3℃ で7~ 14日 間行う。低温にすることでラフランスの呼吸を抑制します。
③▼冷蔵庫から常温に出してラフランスの呼吸を再開させ追熟が始まります。 追熟温度は 10~ 15℃ が理想ですが出来るだけ20℃を超えるような高温での追熟は避けます。追熟は早くなりますが完熟しないまま果実が柔らかくなる場合があります。
④▼追熟の終了の判定は果実を指で強く押して少しへこむ程度なりますが、店先で試すのは控えたいものです。
⑤▼追熟の温度の目安は15℃前後ですがラフランスの季節の11月の全国のお天気は温度差が大きくなってきます。おいしく追熟するための適温は15℃程度です。
気温が高いと早く食べ頃になりますが、風味が落ちてしまいます。ですから、できるだけ涼しい場所に置いてください。気温の低い地方は15℃程度のやや暖かめの場所に温暖な地方では特に涼しいところに保管します。
美味しくする予冷 追熟
ラフランスの生産から流通の流れの中には「予冷」というラフランスの完熟を促す独特の工程が存在します。
このようにラフランスは予冷をすることでラフランスの食べ頃がいつなのかを判断して、その日から逆算して消費地に発送する日にちを決めています。
輸送するときの痛み方は完熟に近くになるほど果実が軟らかくなり、損傷しやすくなるため、輸送に耐えられるぎりぎりの発送日を割り出して約1週間前に出荷しているのです。
つまり予冷を終えて産地に1週間、消費地で1週間の追熟期間があることになります。
ということは、お店に並んでいるラフランスは食べ頃まで約1週間以内に食べ頃をむかえるものばかりとも言えるのです。
店頭のラフランスすぐ食べ頃
「食べ頃」を出荷ケースごと均一にするのに役立っているのが、「予冷」という方法です。
ところが「予冷」処理をしないとラフランスはそれぞれバラバラに熟れて食べ頃になっていくのです。その上、追熟の期間は常温で2~3週間かかった上に食べ頃の目安が全くわからない状態となってしまいます。
ですから予冷済みのラフランスを求めた場合はお手元に届いてから1週間以内に召し上がれるラフランスだと考えても大丈夫ということになります。「ラフランスの食べ頃の目安」などを参考にして美味しく召し上がることが出来るはずです。
このように常温保管すると完熟が何時なのか解りずらいラフランスの特徴から2-3℃前後の冷蔵庫に10日から14日ほど入れて保存することで完熟と食べ頃が解り易くなり、食べ頃の管理が出来るようになります。
ラフランス畑から予冷庫に
ラフランスは収穫されるとすぐに摂氏2~3度の低温貯蔵庫に入れ、10日間ほど呼吸作用を抑制します。
この「予冷」のために冷蔵保管が欠かせないので、収穫されたラフランスは畑で一度サイズ毎に分別され、畑からまっすぐ冷蔵庫へと運ばれていくことです。
出荷コンテナに入れられた状態でラフランスが運ばれるのは冷蔵庫には容量が決められているので、出荷コンテナのまま冷蔵庫に高く積まれて収納されるからです。つまり冷蔵庫の能力に一定の限度があることも一因です。
そのため冷蔵庫にコンテナで積み上げる作業なども準備もあるので予令の現場で煩雑な作業を効率良くすめることが必要なのです。また収穫期間は冷蔵施設のJAの単位ごとの事情が反映された収穫期間を設けられることになりますが大きな期間の違いは無いようです。
もちろん、この収穫期間の設定はラフランスの品質面の管理にも大きな影響を与えることが考えられてのことで、美味しいラフランスを出荷するためにということが目標になっています。
ラフランス予冷のメカニズム
収穫してまだ固いラフランスから完熟にいたる「追熟」のメカニズムはこうなっています。
もぎたてのラフランスは2%ほどのデンプンを含み、クエン酸などの酸も多い。これが追熟するうちにデンプンが果糖やしょ糖、ブドウ糖などの糖分に分解されていきビタミンBやCも多くなってきます。
また果肉中のペクチンも水溶性のペクチンに変わるため、とろりとした果汁がしたたる、濃厚で滑らかな肉質になってきます。
この工程を経ることでラフランスは初めて洋梨の女王と呼ばれるにふさわしい香り豊かで滴るようなジューシーな味の濃厚洋梨に変身できることになります。
ラフランス 完熟と予冷 まとめ
ラフランスの「予冷」とは低温冷蔵庫に入れ果実の呼吸を抑制することをいいます。そして常温に戻すと、ラフランスは一斉に呼吸してデンプンを糖分に変え「追熟」を始めます。その後、常温に出して約10日から2週間で「完熟」の食べ頃になります。
これは、ラフランスの個体差、常温の温度(気温)によっても違ってきます。目安として予冷に約2週間、その後の追熟に2週間費やして、畑で収穫されてから合計4週間(28日)でようやく美味しい完熟ラフランスになっていく成熟の工程になります。
この工程を経ることによってラフランスは初めて洋梨の女王と呼ばれるにふさわしい香り豊かで滴るようなジューシーな濃厚なラフランスに変身できるのです。
ラフランスはあくまでも正しい「予冷」「追熟」のプロセスによって初めて美味しさが発揮される洋梨です。完熟で食べないと全く美味しくない洋梨ともいえます。
▼ラフランスの収穫作業 天童市