バラード洋なしの正統派
バラードは寒河江市にある山形県園芸試験場で育成された西洋梨です。親は「バートレット」と「ラフランス」です。山形県生まれ、山形県育ちの洋梨といえるでしょう。品種登録されたのは1999年(平成11年)ですが、一般的にはあまりなじみがありません。
現在では山形県の洋梨といえは何と言ってもラフランスということで、ラフランスの陰に隠れてあまりなじみがないということになるようです。
果実は大きく育ち一般的に大玉の洋梨といえます。果重は350~450gくらいと大きめで、果皮は黄緑色。熟すと果皮が黄色っぽくなってきます。糖度が高くてやさしい酸味があり、ジューシーでソフトな口当たり。香りもよく、食味の優れた西洋梨です。
この美味しさの秘密は親の美味しさを引き継いだ事に起因します。きっとそれは一方の親がラフランスだからと思われるでしょうが、実はもう一方の親もラフランスに劣らない実績を過去に残した実力派の歴史を持ちます。
この事からみるとバラードは最高の親同士から生まれた洋ナシのサラブレッドということになる訳です。
バートレット 一世風靡の洋梨
ラフランスの方は山形の洋梨の女王といわれる代表的な洋なしですが、一方の親、バートレットについてはあまり知られていない洋なしでしょう。
しかし、バートレットは洋なしが日本に持ち込まれたいちばん早い明治時代から栽培されてきた歴史と実績を持っている正真正銘の実力派なのです。
初期の洋なしは物流が悪かった時代に日持ちをさせるために缶詰加工にも回されました。当時の食料事情を考えるとか果物の缶詰は高級品でバートレットは缶詰用の洋なしとして大いに活躍しました。
その後、需要もあったことから缶詰用とともに生食用の洋なしとしても活躍します。もぎたては緑色で硬く1週間ほどおくと徐々に熟れて黄色みがかってくるバートレットは食べ頃を見つけるのが簡単なことから生食でも人気が高まります。
もちろん、美味しさも兼ね備えていることから、人気、実力ともに備わった洋なしの代表品種としての地位を缶詰重要のある時代に確立したのです。この時代、洋なしといえば「バートレット」というほどの存在感がありました。
一言でいえば「はずれの無い美味しい洋なし」の国民的アイドルだったといえます。
バラードの保存方法とは
バラードは食べ頃が見つけやすい洋なしです。黄色くなって洋なし特有の甘い香りがして来たら食べ頃です。まだ熟していない緑色が残っているものは涼しい場所(15~20度くらいが目安)に置いて追熟させます。乾燥防止のため新聞紙で包むかポリ袋に入れましょう。洋なしは乾燥をきらいます。
長く保存したいときは緑色のままで冷蔵庫に入れ温度変化を出さないようにします。黄色にならない状態だと3‐4週間保存がききます。皮が黄色みを帯びて香りが出てきたら冷蔵庫へ。完熟すると日持ちしないので、なるべく早く食べてください。
バラードの美味しい食べ方 は
バラードは果肉が滑らで舌触りがいい滑らかな食感の洋なしですから皮をむくには注意が必要です。手が滑りやすいので注意して下さい。りんごや梨のように4等分にカットして皮をむけばOKです。バラードは大玉のものが多いですから1/8のサイズのほうが剥きやすくまた食べやすいかもしれません。
バラードは強い洋なし特有の香りが高く風味がよいので、ケーキやパフェなどにのせたり、スムージーやジャムなどに使用してもよいでしょう。古い時代にバートレットを秋の果物のひとつとして育った世代はバラードの香りのバートレットを思い出して郷愁を感じることでしょう。
このバラードの強い洋なしの香りを利用したレシピも工夫すれば幾通りも開発できるのではないでしょうか。
美味しいバラードの選び方とは
美味しいバラードを選ぶには気を付けることが何点かあります。肌のきれいな美人を選びましょう。全般にバラードは綺麗な肌の美人が多い洋なしですが、少し茶色になると過熟なものと診ることが出来ます。
ぶつけた跡やひっかいたようなキズが付いているものは避けたほうが無難。キズの部分から傷んできます。なお、皮に茶色いサビが出ていることがありますが、こちらは気にしなくても大丈夫です。
ラフランスの血筋を引いていますのでサビが出るのが中には見かけられますが、ラフランスの子供といえるバラードですから気にしなくてもいいでしょう。
バラードの特徴と美味しさ まとめ
山形県園芸試験場で育成された西洋梨です。親は「バートレット」と「ラフランス」です。山形県生まれ、山形県育ちの洋梨のサラブレッドといえます。
バートレットは洋なしが日本に持ち込まれたいちばん早い明治時代から栽培されてきた歴史と実績を持っている正真正銘の実力派の洋なし。洋なしといえばバートレットといわれるほど生食でも缶詰にしても美味しい洋なしの代表として時代を築いてきました。
古い時代にバートレットを秋の果物のひとつとして育った世代はバラードの香りの「洋なし時代」バートレットを思い出して郷愁を感じることでしょう。
▼洋なしラフランスの収穫作業風景