500円玉超の大粒さくらんぼ
「500円玉より大きな実が出回る日が来るかもしれない」と山形県の発表がありました。内容は、山形県は超大玉品種を開発しており、今年6月に有望系統として「山園C12号」を選定したということです。そしてできたのが「やまがた紅王」。
年度内にも品種登録をおこなう見通しで、夢の超大玉サクランボの生産収穫へ向けての動きは一気に加速する模様としています。
海外では大玉品種が人気で、「海外では大きな果実の方が高値で取引される」山形さくらんぼの輸出拡大に向けた戦略の一環と見られています。
実は2016年山形県で開催されたオウトウシンポジウムの公開講演会で、サクランボ生産世界第2位の米国の研究者が指摘したことは、日本のサクランボは甘味と酸味のバランスなどの食味や色など、品質では山形サクランボは世界一をねらえるかもしれないが、大きさではアメリカンチェリーなどに見劣りする部分があると。
なるほど、アメリカ人らしいもっともな見解かもしれませんね。
▲世界から見た日本のさくらんぼ
▲日本の主な品種 早生~晩成
世界で戦えるさくらんぼの誕生
この新品種は海外でも通用する見た目、赤い「濃い紅色」大きい「28mm~31㎜超と3L~4L」海外を意識した「日持ちの良さ」常識を超えた驚きのサクランボを意識して生まれたといえます。
「やまがた紅王」は平成9年に「紅秀峰」を種子親に、C-47-70(「レーニア」×「紅さやか」)を花粉親として交雑したもので、平成29年12月19日に品種登録出願が農林水産省より公表されました。
日本の農産物の人気が高い中国や台湾では、赤い果実は縁起物とされ、超大粒サクランボを作ることが出来れば高級贈答用として大きな需要が期待できるとみている。すでにサクランボのターゲットは海外に向いているといえその意識は開発にも大きな影響を与えていると見えます。
山形県が2015年に「山形さくらんぼ世界一プロジェクト」の一環として開発に乗り出し山形県農業試験センター園芸試験場で生まれた「やまがた紅王(山園C12号)」を超大玉新品種候補として選んだとしています。
▼さくらんぼの収穫 箱詰め 発送まで
既存のさくらんぼ品種と比較
山形さくらんぼの7割以上を占める品種、佐藤錦は、M~L(直径19~22mm)、大きい実が特徴の山形県の奨励品種「紅秀峰」でもL~2L(直径22mm~25mm)なのだからその大きさは群を抜いています。
やまがた紅王・大きさ:3L~4L(28mm~31㎜)が中心の大玉で海外の輸出に耐えられる程日持ちが良く実が固い上、佐藤錦に匹敵する糖度があり食べ応えがあるという。
2015年から山形県が「山形さくらんぼ世界一プロジェクト」によって開発され3年、いよいよデビューが近いということになります。大きい、日持ちいい、美味しいの三拍子がそろって初めて輸出の実現ができ、世界一のサクランボをねらえるスタートラインに立つことができるのでしょう。
▲山形さくらんぼ品種ごと栽培割合
■品種の比較
佐藤錦 ・大きさ:M~Lが中心 ・日持ち:あまり良くない ・食味:美味しい
紅秀峰 ・大きさ:L~2Lが中心 ・日持ち:良い ・食味・美味しい
新品種
やまがた紅王・大きさ:3L~4Lが中心 ・日持ち:とても良い ・食味・美味しい
やまがた紅王は山形の大きな期待を一手に背負っています。
500円玉サイズの新品種 まとめ
大きい上に佐藤錦並みの糖度があり、食べ応えがあるだけでだけではないのです。これまでのサクランボは、輸送時間が長いと実が傷みやすく、鮮度の保持が課題となっていました。
やまがた紅王は実が固めで、日持ちが長くなり、長時間の輸送にも耐えられるために輸出に向いているといいます。また、近年生産現場を悩ませていることに「地球温暖化」があります。収穫前に実が軟らかくなる「うるみ果」や着色生涯がその原因によるものと考えられています。
「新品種は暑さに強い品種という」この特徴も地球温暖化も品種改良の課題と考えられていたためなのでしょう。これは生産者には心強い特徴になると思います。
山形のさくらんぼ生産は人手不足や高齢化など多くの課題が存在します。サクランボは山形を代表する農産物で、食味の良さは海外でも支持されることは間違いないものと思われます。
「山形さくらんぼ世界一プロジェクト」によって世界でも世界一と高い評価を得ることはサクランボ王国山形の生産現場に元気を取り戻す将来の原動力になってほしい。