こうとく蜜センサーで全量検査
今年のりんごシーズンから「こうとく」の蜜入りを蜜入りセンサーを使用して全量検査をおこなうことで蜜入りの科学的な裏づけのあるこうとくの販売が出来るようになりました。
今までの、人間の経験と勘による選別しか出来なかったのが、明確な蜜入りの程度をセンサーによって数値化してこうとくの蜜入りが明確に選別が出来るようになったのです。
今まで出来なかった蜜入りの程度を数値して正確な選別によって明確に蜜入りこうとくだけを出荷することを実現したいと念願してきたことが可能になりました。
蜜入りセンサーの仕組みとは
その蜜の正体はリンゴの甘みを演出する果糖になる前の「ソルビト-ル」と言う物質が主成分で甘みは少ないものの周辺部の果肉は爽やかな香りが高く果肉は美味しくなります。
りんごの 蜜入りとは、果肉細胞に入るべき果汁が満タンになって、細胞間隙まで果汁が溢れ出した状態で蜜のような半透明状態をいいます。
白いはずの雪に水を含ませると、シャーベットになって半透明化するところは蜜入りの状態に似ています。
それと同じように白いはずの果肉が蜜入りすることで半透明化して、光の透過がしやすくなります。白い果肉と半透明の蜜入りの違いを現象としてセンサーが読み取ります。
そして、光を通さないリンゴの白い果肉の部分と、白い果肉の部分がシャーベットのように半透明化した蜜入りの部分の違いをとらえて、その程度をセンサーで感知して数値に置き換え表示してくれる仕組みです。
蜜入りの程度を5段階で表示
蜜入りセンサーはりんご(こうとく)の蜜入りの程度を1(少ない)から5(多い)までの5段階で表示します。
そのうちの3以上5までの蜜入りの多いモノだけを選別して「蜜入りこうとく」として表示してパッケージに詰めて販売していくことにしました。
このように蜜入りセンサーでこうとくの全量検査をおこなうことで、蜜入りの多い「こうとく」だけをお届けできることが実現しました。
今までの人の経験と勘、蜜ライトなどの補助器具を使いながら選別してきたことではどうしてもできなかったことが、この蜜入りセンサーをこうとくに1個1個 全量使用することでと蜜入りだけを選別するという長年の願いがようやく実現できることになったのです。
しかし、あくまで蜜入りの確率100%を目指すものですが、完璧な選別が出来るのかという問いにはまだ幾分かの未知数は残っています。
シーズンを通してどのような結果、問題点が生まれてくるのか、こちらにも大きな期待をして次年度以降も一層の改善を目指すことになります。
経験だけで判別するには限界が
いままでは人の長年の経験と蜜ライトを補助的にたよりながら蜜入り「こうとく」を判別していました。
蜜ライトはどんな種類のリンゴにも使用できますが、あくまでも「蜜入り」リンゴを人間の目視で判断するものなので、利便性はありますが、やはり人間の主観で判断する訳で経験が必要となります。
特に歴然とした「蜜入りリンゴ」はOKでも、グレーゾーンの「少量の蜜入り」だと「蜜入り」しているかがあいまいなグレーゾーンの判断が出来ないことが課題でした。
やはり人間の主観に頼るので経験と目視、蜜ライトではどうしてもミスが出るのです。客感的かつ明確な蜜入りの選別は難しいのが実態でした。
やはり、ベテランの経験者による外見の特徴や手で感じる重さ(蜜入りは比重が重い)など蜜ライトを使用しても依然として曖昧さが残り明確な判断は難しいのが現実でした。
こうとく蜜入り検査の基準とは
この蜜入りセンサーは、蜜の少ない方から数値1(蜜入り5-10%)から5(蜜入り約80%以上)まで全量のこうとくを1個ずつ検査確認します。
この中で出荷するのは数値3(蜜入り約20%)以上の表示があったものだけを厳選して特秀品として「蜜入りこうとく」として扱い販売しています。
蜜入りセンサーの数値3となるとりんごの芯のまわりにかなり蜜が入り、明確に蜜入りが確認できるものとなります。ちなみに数値4だと多くの方は「蜜だらけ」と驚かれることでしょう。
大きさ特大から普通小玉まで
そしてまた、一般的には小玉のリンゴである「こうとく」をこうとくの中でも特に大きいサイズ(サンふじと同じくらいのもの)を2Lサイズ-特大(5-7玉2㎏)とLサイズを大玉(8-10玉)としてギフト用特秀品として販売することになりました。
さらに平均的な小玉をMサイズ(6-10玉1.5kg)を選別をして別規格品として販売しています。
生産者の高い栽培技術が原点に
ここで基本である生産者の技術力についても忘れてはなりません。この特大、大玉はこうとくの品種の特性からいくと「こうとくは小玉」という常識を外しています。また蜜入りさせる技術も同様です。
阿部さんの大玉になるこうとくは十数年前に誰よりも早く導入し樹齢20年ほどの働き盛りのジョナゴールルドに接ぎ木したもの、今年で35年の大樹になります。
この樹は大玉が出やすいというタチ(性質)で2Lのこうとくはだいたいこの樹から生産されています。
阿部りんご園の阿部さんの「こうとく」とのかかわりは十数年前からで導入したのも山形県では、いちばん早くとり組み、苦労に苦労を重ねてきた訳です。
やはり生産者の技術力の高さがあってこそこ、高品質で蜜入りが良いこうとくが生産されている訳です。その品質と栽培技術を背景にしてはじめて蜜入りセンサーは活かされてくるのだと実感しています。
こうとくは蜜入りだけを選り分けもぎ取りする、まず下からお尻をみて透き通った蜜入りこうとくだけを見つけてもぎ取る。これは蜜入りが良いこうとくだ。お尻が広くなって実が透けるように見える。熟練の作業だ。
こうとくの蜜を確認後発送 まとめ
今シーズンよりこうとくリンゴは蜜入りセンサーよる収穫量の全量全個の検査を実施しています。
蜜入りセンサー数値1から5までの蜜入りの程度を示す表示のうち3以上の蜜入り多い個体だけを選別して「蜜入りこうとく」としてお届けできるようになりました。
この基準を守りより蜜入りを多いものだけを生産し、その割合を高めていくには、樹上熟成期間をたっぷりとり、蜜入りの多いと判断される個体(りんご)だけを選りすぐって収穫していく「選りもぎ」というもぎ取り方法を選択しました。
もちろん、そのため収穫作業は手間が掛かるが11月上旬から11月いっぱいの1カ月をかけて目視で蜜入りと判断して1個、1個確認しながらもぎ取っていきます。
これをすることで出荷する「こうとく」のお届けまでの鮮度は保障されることになり、樹上熟成の期間が長くなる事から蜜入りも多いもの割合も増加します。
蜜入りセンサーの導入と収穫体系の改善により鮮度が高い、蜜入りたっぷりのこうとくの美味しさをいっそう引き出すことが出来るようになったことを実感しています。
しかし、この出荷体制はまだ一年目なので、多くのお客さまからのご意見を真摯に受け止めて今後の一層の改善に努めていきたいと思います。