昂林・こうとく・サンふじ栽培
早生:昂林(早生ふじ) こうとく(中生) サンふじ(晩生)の品種構成で同じリンゴでも作業がかぶらないように阿部りんご園では有効な作業配分を考えた一年の作業体系が構築されています。
「ふじりんご」は通常、果実に袋をかぶせて育てる有袋栽培が主流でしたが、「サンふじ」は果実に袋をかけないで生産した 無袋栽培したふじりんごを指します。
山形県はその無袋栽培のりんごの発祥の地なのです。ここ山形県から無袋栽培の技術は広がって全国に「サンふじ」の栽培技術が普及していったのです。
無袋栽培に移行していった理由は、年中、陽に当っているりんごのほうが糖度も高くまた蜜もいっぱい入って、見た目は良くないが格段に美味しいからという発想の転換でした。
この無袋栽培の技術の流れが山形県では長年に渡り受け継がれ、早生ふじ昂林(こうりん)にも生かされています。昂林(こうりん)は9月の太陽をたっぷり浴びて9月下旬には収穫がはじまります。
そして、1カ月後の11月になると、蜜女王と呼ばれる「こうとく」の収穫があります。こちらのこうとくは阿部りんご園のイチオシりんごで蜜入りと香りが高い希少な蜜入りりんごといえます。
そして最後は、11月中旬に始まる樹上熟成のサンふじです。太陽いっぱいの無袋栽培で作った「ふじりんご」を特にサンふじと呼ぶのです。
皮ごと食べるれりんご40年
生産者の阿部さんは農薬を極力抑えて、化学肥料も必要以上には使いません。除草剤も使いません。それは子供が丸かじりできるリンゴ「水洗いして丸かじりできるリンゴ栽培」がモットーで40年続けています。
有機質肥料である完熟たい肥を中心に有機質の堆肥を土作りの中心にした土作り重視の栽培を40年以上続けています。「子供たちに安心して与えられる高いレベルのリンゴ作り」そして子供の味に関する敏感な味覚を大切な判断基準してきたからです。
また「一日1個のりんごで医者いらず」といわれるように、リンゴはお腹の調子を整えてくれるといわれ、りんご健康法ともいわれるくらい毎日食べたいくだものです。
阿部さんは「美味しいりんごを毎日食べて多くの人たちから健康になってほしい」と心から思っています。食卓に果物がある日本型食生活が今ある生活習慣病の改善に貢献できると信じてのことです。
早生ふじ昂林(こうりん)を始めとするリンゴの果実には多くの水分が含まれていますので、お風呂上がりや運動の後、身体の水分が失われた時の大事なカリウム、食物繊維など大切な成分と共に水分補給にも活躍します。
毎日の食事にはリンゴなどの果物が不可欠です。食前、食後を問わず、食卓の常備食としてのりんごは健康生活に貢献できることをめざしてやみません。
シンプルに美味しいリンゴ作り
本来のりんご作りを考えたとき、いちばんシンプルな姿が袋をかけない栽培方法なのです。無袋栽培の早生ふじ昂林(こうりん)の果実には水分の他にもビタミンやカリウム等の多くの栄養素を含みますが、果物である以上甘みは完熟の証であり、味覚の大事な要素の一つです。
そして無袋栽培されることで得られる栄養の要素はいずれも高い値を示します。この部分が他の栽培方法と比べると「濃厚、美味しい」といわれる所以ではないでしょうか。
リンゴの甘みの主成分はブドウ糖と果糖と呼ばれる2種類の糖類です。もちろん天然由来の成分なので体や健康の事を考えている方やお子様にも安心してお召し上がりいただける訳です。
夏の太陽を存分に浴びて成長した無袋栽培の早生ふじ昂林(こうりん)は栄養満点、爽やかで濃厚な味。旬の早生ふじ昂林(こうりん)を食べてみてください。
土作りないとリンゴ出来ない
阿部さんのりんご作りの考え方は非常にシンプル、土作りを本気で考えるなら化学肥料を極力使わないのが生産者の姿だと考えています。もちろん除草剤もほとんど使いません。雑草は刈り取って畑の有機質肥料になりますから。土の中はお腹の中と同じ、微生物の力で栄養を分解して循環を支えている。それが人と土の姿です。
こんなことも言っています。「私は果樹園でほとんど化学肥料を使うことはありません。安全性がいろいろと取りざたされていますが、私には味の面で気にかかることがあるのです。それは微妙な雑味(えぐ味)を感じてしまうのです」これが身体に良くないのではと感じるときがあるからです。
そしてまた、長い目で見たときに安定したリンゴ生産に悪影響が出てしまう気がしています。有機質中心の土作りをしないと本来の土の力が失われていくような気がしてなりません。土の中で活躍してくれる微生物が活性化しないと土作りはできないといいます。
自然のサイクルに従うだけ
力強い土作りへの想いが力強いりんご作りを支えています。美味しいものを長い目で安定的に美味しく生産するには良質の有機質である完熟堆肥を利用し手間を惜しまないで土作りすることにこだわりを持っています。
今がよければそれでいいのでは果樹栽培は出来ないといいます。今年は来年のために、来年は再来年のための想いがないと果樹栽培にはならないと語ってくれます。
なぜなら私たち生産者はお天気に大きな影響を受けてリスクを背負っているので、今年だけ良ければという考え方は出来ないのです。自然に対するリスペクトを忘れない。自然環境を破壊してまでの農業はありえないといいます。
土作りをしっかり行って土を大事にして毎年変化する気象の変化に強い果物栽培が求められています。温暖化の問題がクローズアップされている今だからこの阿部さんの言葉が大きく響きます。
▼こうとくの蜜入りの解説 天童市阿部りんご園