栽培 テーマは濃厚フルーツ
今でも、矢沢栄吉ファンでオートバイが趣味という小座間 剛さん。そのたぐい稀な生産者の小座間（おざま）剛さんに「濃厚フルーツ作り」についてお話しを聞いてみました。
小座間さんのラフランスの果樹園にお邪魔しました。園地に入ると落ち葉が堆積しているように土がフワフワなので驚きました。どうやるとこんなに柔らかい土壌になるのかです。
お話しを伺うとだんだんわかってきました。土作りに重要性を感じて時間をかけて土作りに情熱をかけてきたということで、その本当に狙っている生産の姿を聴いてみたいと思います。
以下は小座間さんインタビューのお話です。
ラフランスはズッシリ重みを感じるものを選ぶ
ラフランスは根っこで味が決まる
サラリーマンを辞め農業を深めていこうと決意しましたが、時間を経てようやく農業の深さがだんだんわかってきました。
地域の中に溶け込んで、農業の先輩の皆さんを見ているうちに果樹栽培は、見えないところの根が大事だと解ってきました。細根を多く出して、根毛量が多くなると樹は活性化して勢いづきます。ほんの小さな事かも知れませんが、この気づきは大きかったと思います。
ですからウチのラフランスは力があるのです。土壌改良剤を使用し根が深くたくさん出るように土作りされています。
そして、堆肥を中心に有機肥料を使い土作りしていくこと。しっかりと養分の行き届いた根の入りの良い土壌条件作りと、その土から十分に養分を吸いあげる根を育てることが果樹生育には欠かせない要因であると考えました。それ以来、農薬を出来るだけ減らすことと、除草剤を極力使わない方法を選んできました。
こうなると黙っていても美味しいラフランスが収穫できるようになってきます。しかし、逆に、農薬の過剰な使用や除草剤は長い目で見ると作物の根を傷め損失が大きくなります。何より土が弱くなって根に損失をあたえてしまいます。雑草も土壌の中の湿度を保ち土壌中の細菌を増やし守ってくれていると思うのです。
食べごろを見分けるのがむずかしいラフランス
小座間ラフ深い爽やかな甘さが
目指すのは美味しいラフランスです。濃厚で香り高く、食べ飽きしない爽やかな甘さが目指すところです。
そういったことがおいしい果物つくりの原点であり、果物に旨味とコクが多くなるのではと思います。
最終的にはこれは技術云々ではなくなってきます。基本は土作りにありますが、食べる人の顔を浮かべ、無条件で喜んでもらえるラフランスを作り続けていきたいのです。
おいしい食べ物は人を幸せにするということから、これまでに我が家で育てた果物を食べた人の笑顔を見ることが幸せに感じていると共にこれからも食べた人の笑顔が増え続けること願っています。
ラフランスのかぶりものでサービス精神いっぱいの明るい小座間さん、出番です！
農業を嫌っていた時期もあった
果樹農家の長男として生まれ、子供の頃から家の手伝いをやっていました。働く両親を見て憧れを持っていました。
高校進学時には、農業高校進学と決めていたのに、三者面談で決めた内容をひっくり返し工業高校へ進学することにしたのは、メカが好きだったことや憧れがありつつも休みもなく年中働き通しの両親の姿を見て疑問を感じていたからです。
そして、会社員になっておもちゃのラジコン開発に長年携わりましたが、工場の閉鎖で農業に戻りました。
しかし農業は、毎年気候や温度の変化等で同じ条件で育てることができないため終わりのない追求なので、まだ毎年１年生のままの状態です。
そのため手間を惜しまず果樹と頻繁に接し会話出来るまでになりたいものです。そんなことを思いながら生育状況を見ながら手入れをしています。
子供の頃に親を見て感じていた疑問が、農業に従事して今更ながら、ようやくやっと分って来たように思います。
完熟すればとろけるような舌触りになるラフランス
目標は通年愛されるフルーツ加工
フルーツは収穫されると直ぐに食べるのが通常いちばん美味しいのですが、広く多くの方々に美味しさを伝えるには手を加えていつでも食べられるようにした加工品も必要なのではと思います。
今は、農業の比較的繁忙期でない時に工業試験場や研究機関に色んな協力を得て開発している試作品が3個ほどあります。中々実現までは道半ばですが、継続して続けていきたいと思います。
凍らして食べる冷凍サクランボ。甘酒とフルーツのコラボしたフルーツ甘酒。その他フルーツに関わる別の試作品があって、大事に研究をすすめています。モニター試験などもしてけっこう良い反応もあるのでぜひ実現したいと思っています。
「さくらんぼ応援隊」を募集中
農業生産現場では、人手不足が深刻です。この状態を解消するため農業を楽しみながら果樹園で収穫作業を手伝う「山形さくらんぼ部」というサイトを立ち上げて全国発信しています。
さくらんぼの消費地、都会に向け発信しています。昨年から一人、ふたりと参加の反応が出はじめてきました。今年は5名もサクランボの収穫に来てくれました。嬉しい限りです。
今後はウチばかりでなく地域に広げたくさんの交流と応援が得られるようにと期待が高まっています。
山形さくらんぼ部はこちら
https://mirailab.info/club/club_type/sakuranbo
▼今年も大きく育ってくれたラフランスを収穫する小座間さん
