もともと「こうとく」は蜜入りは良いもののリンゴの中ではかなり小玉の品種といえます。Mサイズ(180g~200g/個)それをLサイズ(200g~250g/個)まで引き上げるには大変な努力と根気がいります。
果実の大きさと数と整える
「こうとく」や「ふじ」などのリンゴはつぼみ時に行う摘蕾(らい)、開花時に行う摘花、幼果期に行う摘果があります。
もちろん摘果の時期は早いほど良く、実を摘む摘果より 花を摘む摘花。 花を摘む摘花より 蕾を摘む摘蕾の方が樹の負担を和らげる効果が大きいのです。
最終的に不必要なものは早く取除くほど、それだけりんごの樹の負担は軽減されるからです。それだけ品質も大きさも充実して美味しくなるのです。
特にこうとくは小玉のりんごなので、できるだけ負担を軽くして実の方へ養分を集中して、少しでも大きく実を育てたいという想いがありますから摘花、摘果は早めにしっかりおこないたいのです。
各段階の摘蕾、摘花、摘果を早めに、そして少し少な目に行って不用意な生理落果も想定した作業をしていきます。実の大きさ、実の数をしっかりコントロールするには最終の仕上げの摘果を確実のおこない精度を高める必要があります。
仕上げの摘果は落果も考慮
しかし予期しない自然災害や摘果の後で晩霜害や早期落果があると過剰に果実を落とすことになるので予備摘果と仕上げ摘果ので果実数を調整するように考えられています。
予備摘果は、細胞分裂の終了以前に行うことが望ましく、こうとくなどのリンゴでは満開後25日頃までに予備摘果,60日までに仕上げ摘果を行うようにします。
山形ではサクランボの収穫が6月下旬に入りサクランボの繁忙期の約1カ月はなにもできなくなりますから、予めしっかり計画を立てて何とか仕上げ摘果を7月末には終わりたいものです。
こうとくの摘蕾 摘花は5月に
「摘花」は、つぼみや花の時期に中心花と呼ばれる真ん中の大きな花のみを残して周りの花を摘み取る作業で、早い時期に摘み取るほど樹の貯蔵養分の消耗が少なくなります。中心花は大事な花で、大きく充実した実を着ける性質をもった花です。遅霜の害にあうと中心花を失うことがあります。
これは品質の向上とりんごの玉の大きさの決定要素になる大切な条件です。小玉のこうとくをできるだけ大きくしたいので早めの摘蕾、摘花はきわめて効果的です。
摘蕾、摘花の基本は授粉になります。現在はマメコバチを利用していますが、天候不順が多くなる時は、人工授粉は手間はかかりますが現在でも安定したリンゴの収量を確保するのに欠かせない方法であることは変わりません。
こうとくは7月まで仕上摘果
りんごは1つの株から5~6つの花が咲いて幼果ができますが、それぞれが樹の貯蔵養分を取り合うため全ての幼果が大きくなることはできません。
そこで、真ん中の大きな中心果を残して周りの幼果をできるだけ早く摘み取る「一つ成り摘果」の作業を行います。
さらに一つ成り摘果後も、3~5頂芽にりんご1個の割合でつるが太くて長く果形が良好な果実を選んで残し他の果実を取り除いてしまうのが「仕上げ摘果」です。
最終的に仕上げ摘果で選ばれたりんごだけが大きく育てられていきます。仕上げ摘果で最終的な果実の数と大きさ、品質もかなりの確率で決定される事になります。
8月上旬のこうとくの果樹園の様子をどうぞご覧ください
こうとくを大玉に育てる まとめ
もともと「こうとく」は蜜入りは良いもののリンゴの中ではかなり小玉の品種といえます。Mサイズ(180g~200g/個)それをLサイズ(200g~250g/個)まで引き上げるには大変な努力と根気がいります。
りんごの摘蕾、摘花、摘果はこうとく、サンふじの規格に合った実のサイズ、実の数をしっかりコントロールして美味しいりんごに仕上げるためにおこないます。
実の数と大きさを摘蕾、摘花、摘花で調整し樹の過剰な負担を和らげて安定した収穫を継続的に実現できるようにします。
また、このようなこまめな管理作業を徹底することで秀品率など品質を高めることで、実質的な収益を高める事に繋げることにもなります。
もちろん、的確な防除や土作りは安定的な収穫を支える基本の部分であり大事な要素になりますからしっかり準備をしていくことも大切になってきます。